COLUMN

2024.06.12 NETIS

【2024年版】NETISの種類(識別番号)は6つ! VE・VR・A・V・AG・VGの特徴を解説

工事に携わった経験のある方ならおなじみの「NETIS」。
チラシやパンフレットなどで「NETIS登録製品」と記された資材をよく目にすることでしょう。
当社の運営する比較サイト「建設MiL」にも、さまざまなNETIS登録資材・工法などが登録されています。

そんな「NETIS」には、さまざまな種類(識別番号)が存在していることをご存じでしょうか。
本記事では、その種類について詳しく解説します。

NETISへ登録されている商品を具体的に確認したい場合は、「2024年版 建設工法 NETIS」を無料で送付しているため、お時間のある際にご覧ください。

まとめ

  • ・NETISの種類(識別番号)にはVE・VR・A・V・AG・VGがあるが、閲覧できるのはVE・VR・Aのみ。
  • ・NETISの種類(識別番号)には優劣がなく、NETISに登録されている限りそれは画期的な新技術であるという事実に変わりない。
  • ・NETISに登録することには、登録側にも利用者側にも多くの利点がある。

NETISとは?

NETIS(New Technology Information System)は、国土交通省が運用するデータベースシステムです。このシステムは、新技術活用の効率化やリスク軽減を図り、有用な技術が広く活用されるよう支援するために設立されました。

2001から始まったNETISは、実際の公共工事などで新技術を活用し、その効果を検証することで技術の発展と活用促進を目指しています。

近年では、労働力不足や働き方改革の必要性が増大しており、建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が行われています。

NETISもその一環であり、国土交通省の政策により技術革新と効率化が進んでいるのです。

NETISの目的とは?

建設業界での新技術は主に民間企業が開発・製造しており、これらの技術は安全性向上や環境保全、コストダウン、人員削減など多くのメリットをもたらします。

しかし、これらの素晴らしい技術を建設業界に普及させるのは自力では難しいため、国土交通省がNETISというデータベースシステムを導入しました。 NETISはそこに登録された新技術をより広く活用してもらうことを目指しています。新技術の普及は容易ではないため、こうしたシステムを通じて企業に啓発活動を行っているのです。

NETISができた背景とは?

NETISの整備には、建設業界が直面する諸課題が背景にあります。その中でも特に深刻なのは、建設技術者の減少とインフラの老朽化です。

日本は高齢化が進む先進国の中でもトップクラスであり、団塊の世代(1947年から1949年に生まれた世代)の引退が進行中です。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、現役世代が減少する「2025年問題」が迫っています。さらに、建設業界は労働環境が過酷とされ、若者の新規就業者が他の業種よりも少ないため、人材不足が深刻化しているのです。

また、高度成長期以降に整備された道路や橋、トンネル、下水道などのインフラは耐用年数の限界を迎えており、建て替えや大規模な補修が必要とされています。これらのニーズに応えるためには、建設業界の効率化と新技術の導入が急務であり、その一部としてNETISの運用が始められました。

NETISについては以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

NETISとは? 活用メリット5つと工期や費用削減の事例3選【施工者・発注者向け】

NETISの種類(識別番号)

現在、さまざまな資材や工法がNETISに登録されていますが、そのNETISにはいくつかの種類があります。

現状使われている主なものは、2024年4月現在ではVE・VR・Aです。

以下表組で違いを簡易的に掲載しておりますが、それぞれ詳しく解説していきます。 以下に上記の3つを分かりやすく表にまとめています。

NETISの種類(識別番号)掲載は登録した翌年度
VE(継続調査不要の技術)掲載は登録した翌年度から10年間 (評価後、事後評価を行わない)
VR(継続調査等の対象技術)掲載は登録した翌年度から10年間 (評価後、活用効果調査表10件で次の事後評価対象)
A(未評価技術)掲載は登録した翌年度から10年間 (活用効果調査表5件で事後評価対象)

VE

「VE」に登録されたものは、NETISにおいて今後の調査が不要であると判断された技術です。そのため、今後の活用効果調査表の作成・提出は必要ありません。
簡単に言うと、使ってみた企業が良い評価をしている新技術ということになります。

VR

「VR」に登録されているものは、NETISに「今後の調査は必要」と判断された技術で、引き続き活用効果調査表を作成し、提出する必要があります。
評価調査が行われ続けた結果、「VE」に指定される可能性のある技術です。成長余地があり、期待されている技術ということになります。

A

NETISへの登録申請が承認され、新技術として認定されると「A」で登録されます。
これまでの「A」登録期間は5年間で設定されていましたが、2023年度よりNETIS登録した翌年度から10年間の掲載期間になりました。
さらに掲載期間中に、「推奨技術、準推奨技術」に選定されると15年間の掲載期間となります。

ここで留意していただきたいのは、これらの識別記号は優劣を区別するためのものではないということです。
「VE」や「VR」の方が他の企業から高く評価されているかもしれませんが、「A」は登録されたばかりでまだ評価を受けきれていない可能性もあります。
NETISに登録されている限り、それは画期的な新技術であるという事実に変わりはありません。

V・AG・VGとは?

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、NETISの種類(識別番号)には、VE・VR・A以外にもV・AG・VGというものがあります。

どういった意味を持っているものなのか、以下で詳しく解説します。

V

「V」と登録された技術は、以前にNETISで評価されたものです。「V」は2013年度まで使用されていましたが、2014年度から評価会議にかけられると末尾が「VE」、「VR」へ識別される評価へと変わり、2024年時点でも同様の仕組みで運用されています。

AG・VG

「-AG」「-VG」は外部向けにはオープンされておらず、国土交通省が実施する新技術の審査で過去に掲載された技術と同一でないか等の検証を行うために内部のインライン版情報として登録されています。
よって表向きに使用されているのは先にご紹介したVE・VR・Aのみになります。

NETISのアルファベットの意味
「-A」(Applicationの頭文字)
「-VR」(ValueとReの頭文字)
「-VE」(ValueとEndの頭文字)
「-AG」「-VG」(Graduationの頭文字)

NETISに登録することの利点

登録者側の利点

  1. 自社の新技術を広く宣伝する機会が得られ、知名度が向上します。
  2. 新技術が実際に活用される可能性が高まります。
  3. 技術の活用により、さらなる改善や発展が促進されます。

また、NETISに登録されて評価を受けることで、自社の信頼性が向上し、新技術に「活用推進技術」という名称を付与できるなど、さらなるメリットがあります。

利用者側の利点

もちろん、NETISを通じて新技術の情報を利用する側にも大きなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。

  1. 公共工事の入札で加点対象になり、入札が有利になります。
  2. 新技術の導入により、コストの削減や工期の短縮が期待できます。

加点対象について、実際の点数は条件に応じて1〜3点の範囲で変動します。配点の基準は大まかに「新技術の事後評価の有無」と「活用による効果の評価」に分かれます。 NETISの加点の仕組みについては以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひご参照ください。

NETISの工事成績評定に関する加点の仕組みを詳しく解説

NETISの登録方法

NETISに登録することでVE・VR・Aなどの評価が受けられることはご理解いただけたかと思いますが、「肝心の登録方法は?」と疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。

ここからは、NETISへの登録方法を詳しく解説します。

Step1:情報収集

まずは、NETISの公式サイト「NETIS登録」から登録手続きに関する情報を収集します。公式サイトでは、登録手順や必要なマニュアル、申請に必要な書式などが提供されています。

Step2:申請書類の準備

必要な書類や手続きを確認したら、申請書類を作成します。公式サイトには「チェックリスト」も用意されているので、これを活用して不備がないように準備します。

Step3:申請書類の提出

準備が整ったら、申請書類を提出します。提出先は、地域ごとに異なりますが、主に関東技術事務所や港湾空港技術調査事務所などがあります。書類提出時には窓口でヒアリングが行われます。

Step4:書類の確認と修正

提出された書類は、担当の事務所で確認されます。まずは書類の完全性と内容の妥当性がチェックされ、必要に応じて修正が行われます。確認や修正には3カ月から半年程度の時間がかかります。

Step5:登録

書類に不備がないことが確認されれば、新技術はNETISのデータベースに登録されます。

申請情報と評価情報

登録された新技術は、まず「申請情報」としてデータベースに掲載されます。これには技術的な情報や経済性などが含まれます。また、新技術が5件以上のプロジェクトで活用され活用効果の調査が行われると、「事後評価」が対象となります。事後評価は専門の評価会議によって行われ、評価結果は「評価情報」として掲載されます。

令和6年度のNETIS登録商品の事例

建設資材・工法選定の比較ができる建設MiLでは、令和6年度の登録商品を含むNETIS情報が約2,000ほど(2024年9月時点)確認できます。以下では令和6年度のNETIS登録商品の一例を紹介します。

断面修復工法「エアショットワン」

圧縮空気で圧送したモルタルパウダーとポンプ圧送した水を吹付ノズルの先端で混合・吹付する乾式吹付工法です。
エアショットワンの新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

寒中コンクリート用カバー「バリマックス ウインターシールド」

暑中コンクリート用のミキサー車ドラムカバーに被せて使用する寒中コンクリート用カバーです。
バリマックス ウインターシールドの新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

スマートアジテーター®

「ドラム内の生コン性状記録管理装置」や「GPS位置情報システム」、「IP無線機能(オプション)」、「出退勤管理機能」等、様々な機能を搭載した複合型車両運行管理が可能なシステムです。
スマートアジテーター®の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

GSシステムパネル足場

橋梁や高架橋などの足場材と防護材をパネル状にユニットすることにより、吊り足場を構築します。
GSシステムパネル足場の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

フーチングレス防球シェッド

柱と杭を一体化させた接合部を構築するフーチングレス防球シェッド工法です。
フーチングレス防球シェッドの新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

雪崩予防落石防護柵「ランバス・スノー」

落石防護性能と雪崩予防性能を両立したエネルギー吸収型の積雪対応落石防護柵です。 雪崩予防落石防護柵「ランバス・スノー」の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。
雪崩予防落石防護柵「ランバス・スノー」の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

ONR工法はく落防止仕様V2

コンクリート構造物の劣化、疲労などによるかぶりコンクリートのはく落を防止する塗布接着型シート工法です。
ONR工法はく落防止仕様V2の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

気象データを活用した舗装工事の業務支援アプリ

土工、路盤工およびアスファルト舗装の作業可否判断ができる気象情報サービスです。
気象データを活用した舗装工事の業務支援アプリの新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

ステレオカメラでの水中構造物の保全点検・計測技術

水中構造物の点検・計測作業にて、ステレオカメラで対象物を撮影すると同時に対象物点群表示を可能とし、さらに画像データ処理にて高精度な3D点群モデル生成と寸法計測を行う写真測量技術です。
ステレオカメラでの水中構造物の保全点検・計測技術の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

人力舗装に特化した床版防水材「ハイウェイ・スラブボンド」

小規模な床版の舗装補修作業における人力舗装に特化したエポキシ樹脂系の熱硬化型床版防水材です。
人力舗装に特化した床版防水材「ハイウェイ・スラブボンド」の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

ポリエステル製硬質網材「マルチGRID」を用いた侵入防止アミ

建築や土木の工事現場への侵入防止措置。硬化させたポリエステル100%のアミ材を使用です。
ポリエステル製硬質網材「マルチGRID」を用いた侵入防止アミの新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

ミレニュームシステムを用いたシステム法面構台「MN-NORIMAX」

斜面・法面工事において、作業構台や機械構台を安全に形成できる法面構台です。
ミレニュームシステムを用いたシステム法面構台「MN-NORIMAX」の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

レゾフォンピア工法®

透水性化学繊維(ポリエチレン製)のネットを使用することでコンクリートへの土砂の巻き込みを防ぎ、安全に杭の構築ができます。
レゾフォンピア工法®の新規性や期待される効果の詳細はこちらよりご確認ください。

まとめ

本記事では、建設業界における新技術の普及を支援するNETIS(新技術情報提供システム)の種類(識別番号)に主に焦点を当てて解説しました。

NETISは国土交通省によって運営され、新技術や製品に関する情報を集め、公開するデータベースです。

登録された技術はVE、VR、Aの評価を受け、登録者と利用者双方に多くの利点をもたらします。種類に優劣はなく、NETISに登録されている限り、どれも画期的な新技術であることに間違いありません。

ぜひ御社もNETISを活用し、建設業界における技術革新と効率化の推進に貢献してみてはいかがでしょうか。