2018.01.11
構造形式
進化する弱点を補う構造形式 |
コンクリートは圧縮に強いが、引っ張りには弱い。
この弱点を補うために鋼材と合わせて用いている。鉄筋や鉄骨に加えて、PC(プレストレスト・コンクリート)と呼ぶ構造形式も採用されているほか、繊維補強コンクリートが開発されるなど、構造体としてのコンクリートは進化し続けている。
圧縮には強いが引っ張りに弱い |
コンクリートは水とセメント、細骨材と粗骨材による構造部材である。固まれば、石のように高い強度を発揮する。配合設計によって、構造物の種類などに応じて強度も調整できる。しかし叩けば割れるし、横方向からの強い力が加われば、折れてしまう。
そこで土木、建築ともに構造物として用いる場合は、鋼材と併用しているのである。RC造(鉄筋コンクリート)やSRC造(鉄筋鉄骨コンクリート)と呼ばれる構造形式だ。
RC造は、英語のReinforced-Concreteを意味する補強されたコンクリートの頭文字を略したもので、縦方向の主筋に横方向の帯筋を巻いてコンクリートと一体化する。土木構造物では主要な構造形式で、建築では中低層の建物に用いられることが多い。主に柱と梁で構成するラーメン構造と呼ぶ形式と、壁面と床版などの平面的な部材による壁式構造とがある。SRC造は中央に鉄骨を建てて周囲に鉄筋を巻く。高層建築物に用いられてきている。ただし、技術開発が進んで高強度のコンクリートを用いた超高層RC建築も開発されている。
張力を加えるPC構造 |
コンクリートの弱点を補うもう一つの構造形式がPC(プレストレスト・コンクリート)である。
鉄筋や鋼棒などのPC鋼材を用いる。型枠を組んだ段階で鋼材を設置して両端から引っ張り張力(プレストレスト)を加えておく。打設したコンクリートが固まった段階で、鋼材の固定を解放すれば、引っ張る力が加わり、曲げにも強くなる。RCに比べてコストはかかるが、より細く、長くできる。橋梁の桁に多く用いられてきた。支間を大きく取ることができ、建築でも大空間を確保したい場合など大規模な構造物に採用されている。
PC構造の場合は、全てを現場で施工するほかに工場製作の部材を用いることもある。分割した部材を工場で製作して現場でPC鋼材によって接合して一体化する。PC(プレキャスト・コンクリート)と呼び、建築では区別するためにPCaと言うこともある。管理された工場で製作するので、品質や強度が一定している。現場では部材を接合するだけなので、工期も短縮できるといったメリットがある。
しかし高い強度のPCでも橋桁に用いた場合には支間に限界がある。そこで、開発されたのが、複合橋や混合橋桁だ。PC部材の一部に鋼材を用いて、より長い支間や軽量化を実現した。波型鋼板ウェブPC橋や複合トラス橋などがある。
さらに、従来のPC箱桁橋は、幅13m程度が限界であったが、解析技術の進歩などによって、より広い幅員が可能な箱桁合理化床版構造と呼ぶ形式も開発されている。
繊維を混ぜ合わせた新世代のコンクリート |
コンクリート補強用プラスチック繊維
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出典:大日製罐(株) |
鋼材を用いずにコンクリートの弱点を補うのが繊維補強コンクリートである。RCとSRC、PCに次ぐ新たな世代のコンクリート構造体でもある。引っ張り力が弱いのに加えて、コンクリートは荷重などの外力によって変形し、ひび割れが発生する。水分などが浸透して内部の鉄筋を腐食させたりすることがある。これに対して繊維補強コンクリートは内部に鉄筋などの鋼材はない。
原理は、戸建て住宅などに古くから用いられてきた土壁に似ている。土だけでは脆いが、細かく裁断した藁を混ぜ合わせることで、強度を高める。繊維補強コンクリートも鋼や炭素、ポリエチレンなどの繊維を混ぜ合わせる。内部で絡まった繊維が引っ張り力に対抗し、曲げにも強くなる。
種類や配合の割合は、構造物の種類や求める強度などによって決める。例えば、RC造に比べれば、鉄筋を組むといった現場作業は削減できる。しかし、材料としてのコンクリートのコストアップは避けられない。部材断面の縮小や軽量化、コンパクトが可能になれば、施工の省力化と合わせたトータルコストの削減につながる可能性もある。
さらに、超高強度繊維補強コンクリートも開発されている。軽量化やコンパクト化に加えて建設時のCO2排出量は少なく、耐久性も高い。普及しない大きな要因は、やはりコストにある。管理された工場で部材を製作し、製造工程には厳密な管理が求められるなど手間が掛かる。これらを改良し、特性をアピールしていくことが普及のかぎを握っているといえよう。
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