2018.12.06
ダム、橋梁を出発点として河川から道路へと事業分野を拡大
建設コンサルタントは、第二次世界大戦後に多くが設立され、戦後復興から高度成長への社会資本整備に貢献してきた。
八千代エンジニヤリングは、高度成長期の時代を背景に、製鉄会社の要請もあり、海外にも通用するコンサルティング・エンジニヤリング企業を目指し1963年に創立された。
八千代エンジニヤリングという社名は「千代に八千代に生き続け、未来永劫にわたって人類社会のために貢献し、発展してほしい」という願いをこめて、命名された。
創立後は、ダムと鉄道橋梁を中心に取り組み、その後範囲を広げ、国内を代表する総合建設コンサルタントへと成長してきた。
高い技術力が求められるダム、橋梁に強みを発揮 |
ダムでは、戦後復興や高度成長に向けて水需要や治水、電源開発などを目的に多くのダムが建設された。そのような中、総合建設コンサルタントとしてのノウハウや技術力を活かし、顧客に親身になって対応したことで信頼を得ることができ、事業拡大へと繋げていった。
その後もダムを中心としながら河川構造物も手掛けるようになり、技術力の対応範囲を広げていった。
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創設当初、工事前調査などを行った下筌ダム |
当時日本では鉄製の橋梁は十分普及しており業界でも品質的に安定していたが、コンクリートの橋梁はまだまだであった。そのような中、ヨーロッパで開発され始めたPC(プレストレストコンクリート)橋梁の技術が日本に取り入れられ、山陽新幹線の吉井川橋梁などの設計・施工監理に携わった。
また、新潟地震(1964年)で被災した万代橋の復旧耐震設計などを手掛け、耐震設計の礎となった。
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吉井川橋梁 |
その後は、時代のニーズや社会資本整備の拡大に対応して幅広い分野に取り組んできたことから、建設コンサルタントの21に及ぶ登録項目のうち、現在では19部門について登録している。
グループ制によるマトリックス組織 |
この幅広い分野に取り組むことのできる強みを活かし、従来の事業部制の縦ライン組織を、「社会・マネジメント」「環境」「道路・鉄道」「河川・水工」の四つの部門別グループと、「研究開発」「海外事業」による横断的組織で束ね、縦横のマトリックス組織を形成することにより、総合力の発揮を目指している。
これにより、コア技術部署である事業統括本部と全国の事業所が連携して、専門性の高い技術サービスを提供している。
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グループ制によるマトリックス組織 |
社会・マネジメントグループでは、まちづくりやインフラ、防災などソフト分野を対象にして持続可能なくらしの実現を目指している。まちづくりでは土地区画整理、市街地再開発事業、中心市街地活性化などに取り組んできた。地域の総合計画や社会資本整備計画でも実績がある。インフラについては、老朽化に対応するため確実な維持修繕、更新に対応するためのメンテナンスサイクルについての技術支援を各地で実施している。
環境グループでは、地球的規模の課題となっている環境問題について、地下水、地質・地盤、廃棄物を主な対象としてきた。
道路・鉄道グループでは、構想から計画、設計、施工、維持管理を含めた技術サービスを提供している。構想段階では、需要予測や環境への影響を分析するなど総合的な視野で計画を作成。また、橋梁の基本、詳細、実施設計で土木学会田中賞など多くの賞を受けてきている。
阿波しらさぎ大橋(土木学会田中賞を受賞) |
河川・水工グループでは、河川は施設の維持管理から防災、環境保全などハード、ソフト両面にわたって技術力を発揮している。わが国は、国土の7割が山地であり、土石流や地すべりが各地で発生している。これを防止したり、被害を抑制する斜面防災や砂防のための調査や計画。また、ダムなど大規模構造物の基礎解析は創業以来の得意分野でもあり、高い評価を受けている。港湾や海洋分野では、津波や地震などの災害対策、海洋資源の活用、環境対策などトータルコーディネーターとして複数の分野で技術力を発揮している。
研究開発グループでは、従来の枠組みにとらわれずに新しい技術を創造していくことを基本テーマとしている。地球規模での温暖化といった課題もあり、低炭素社会、再生可能エネルギーの活用に向けた開発を進めるとともに、PPP(官民パートナーシップ)やPFIなど事業手法に対するマネジメント業務を中心にした新たな技術の創造も行っている。
再生可能エネルギ―では、神奈川県の白浜温泉で現在湧出を止めている源泉を用い、バイナリー方式による発電と、使用後の熱水を地域に「融通」するという事業プラン(「熱水融通モデル」)を策定し、その実現可能性を検証した。地域資源を活用して、環境負荷の低い発電を実施しながら熱水を「融通」することで、冬季湯量が足りなくなるという地元の課題を解決し、既存温泉や海洋環境への影響を抑えることが可能となった。また、地熱資源開発の理解促進のために、源泉の熱量測定を地元学生と共に行い、発電事業の勉強会を地元住民向けに行う等、環境学習の取り組みも行った。
専門学校生と源泉の温度と湧水量の共同調査 を実施 |
発電所の仕組みについて説明を受けている 様子 |
また、この7月には「技術創発研究所」を設立し、社会資本に関わる情報のデジタル化技術、デジタル情報のAI処理技術、社会資本の未来を予測する技術について研究している。
世界的な深層学習技術(人工知能技術の一種)の盛り上がりと共に、深層学習技術の研究・開発にも取り組み始め、その成果の一端となるサービスGoganGo(ゴガン・ゴー)を開発した。このサービスは、AIの適用先として、全国の中小河川で大量に整備されているコンクリート護岸に着目し、その適切な維持管理を実現するためのサポートとなるサービスを技術開発したものである。
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GoganGo サービスイメージ |
ひび割れ検出結果(赤色が検出した部分) |
これまで、国・都道府県・市町村を通じて、大量生産・大量消費を支える社会資本が整備されてきたが、人口減少・少子高齢化等の時代の変曲点を迎え、我々と社会資本との関係も変わろうとしている中で、現在国を挙げて積極的に進められている生産性革命を実現するためには、AI等を活用し、効率的で適切な社会資本の維持管理を実現していく必要があり、今回開発に至った。
海外部門では、100ヵ国以上の国でコンサルタント業務を実施してきた。主に東南アジアでのODA(政府開発援助)によるインフラ関連から、ここで得た現地でのパイプによって水平展開し、さらにアフリカへの本格進出を目指している。すでにカイロやナイジェリアに現地事務所も開設。水資源、都市環境、電力・プラントといった5つのセクターにわたるプロジェクトを実施している。
組織の連携による総合力を発揮 |
建設コンサルタントといっても、その分野は実に幅広く、ニーズは多様化し、しかも常に変化している。
これからも、総合建設コンサルタントとして、特定の分野に特化せずに、ニーズの変化に対応していく。
各部門間で共通するテーマについては、共同で研究、開発するなど縦軸と横軸を融合させた組織を構築し、専門性の高い技術を提供することが、八千代エンジニヤリングの強みと言えそうだ。
売上高、社員数ともに右肩上がりで増加をし続けている。
社員に対しては、ワークライフバランスや労働環境の改善、家族を含めたイベントの開催など働きやすい企業を目指している。
子ども参観 |
子育てや介護に対する支援制度も充実させてきた。有休休暇の取得促進に加えて、介護については外部講師を迎えてのセミナーなども実施している。
社外活動としては、建設コンサルタントの社会的認知度を向上させるための取り組みとして、大学との産学連携プロジェクトなど積極的に取り組んでいる。
創立50年を機にCSR Reportを継続して発刊している。社会資本整備の調査・企画・設計などの仕事においての社会貢献だけでなく、さまざまな社会貢献活動を紹介している。
2017年7月には、10年先を見据えた「長期経営方針」、その第1段階である3か年の計画となる「中期経営計画」を策定している。今後は、官公庁向け事業を基軸としつつ、民間向け事業の拡大に注力していく。
今後も活躍の場は拡大し続けているといえよう。
(2018年12月時点)
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