国土交通グリーンチャレンジ

 

    

 

 

   国土交通グリーンチャレンジと6つのプロジェクト

 

国土交通省は、グリーン社会の実現に向けた「国土交通グリーンチャレンジ」を進めている。国土や都市、地域空間でのグリーン社会を実現することを目的としており、分野を問わず、官民が連携して実施する取り組みとなっている。プロジェクトの期間は2050年まで。まずは2030年度までに6つのプロジェクトについて重点的に取り組むという。

 

~6つのプロジェクト~

(1)省エネ・再エネ拡大等につながるスマートで強靱なくらしとまちづくり

(2)グリーンインフラを活用した自然共生地域づくり

(3)自動車の電動化に対応した交通・物流・インフラシステムの構築

(4)デジタルとグリーンによる持続可能な交通・物流サービスの展開

(5)港湾・海事分野におけるカーボンニュートラルの実現、グリーン化の推進

(6)インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル、循環型社会の実現

 

詳細はコチラ

https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo10_hh_000252.html

 

 

 

 

   インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラルへ

 

グリーンチャレンジは、気候危機への対応や2050年カーボンニュートラル、グリーン社会の実現に貢献することが目的だ。二酸化炭素排出量の約5割を占める運輸などの脱炭素化に向けた地球温暖化緩和策や、気候変動適応策などに戦略的に取り組む。プロジェクトは国土交通省社会資本整備審議会交通政策審議会環境部会に設置した「グリーン社会WG」での審議結果を踏まえ、令和3年に「国土交通グリーンチャレンジ」として取りまとめ公表されている。

 

グリーンチャレンジ「6つのプロジェクト」の基本的な取り組み方針は、業種分野を横断した官民連携による総合的・複合的アプローチと、時間軸を踏まえた戦略的アプローチの2つ。

細かく説明すれば、イノベーション等に関する産学官・地域との連携や国民・企業の行動変容の促進、時間軸では2050年の長期を見据えつつ、2030年までの10年間に重点的に取り組むべきデジタル技術・データの活用、グリーンファイナンスの活用、国際貢献、国際展開といったプロジェクトがある。

 

その中でも、「(6)インフラのライフサイクル全体でのカーボンニュートラル、循環型社会の実現」では設計、計画、施工、共用管理、更新解体の各段階における脱炭素に向けた重点施策が紹介されている。

一旦整備すると長期間共用することになるインフラ分野では、共用・管理段階での省エネだけではなく、社会資本のライフサイクル全体から見た計画設計、運搬施工、更新解体等の段階で脱炭素化の取り組みを進めていく。また循環型社会の形成へ向け、「建設リサイクル推進計画2020」に基づき、質を重視した建設リサイクルを進める。

 

「建設リサイクル推進計画2020」は、国土交通省の社会資本整備審議会環境部会建設リサイクル推進政策検討委員会の中で、建設リサイクルの推進に向けた基本的な考え方や目標、具体的施策を取りまとめたものである。国土交通省ではこれまで、建設リサイクルや建設副産物の適正処理を進めるため、建設リサイクル推進計画を定期的に策定してきた。策定を進める中で、建設廃棄物のリサイクル率が1990年代では約60%程度だったが、2018年度では約97%へと上昇。国土交通省は「1990年代から2000年代のリサイクル発展成長期から、維持安定期に入ってきたと考えられ、今後、リサイクルの質の向上が重要な視点になる」と分析した。計画では、建設副産物の再資源化率等に関する2024年度達成基準値を設定。建設リサイクルを進めるとともに重要課題を整理し、取り組みの実施主体を明確化した。

 

 

     

 

 

   「建設リサイクル推進計画2020」に基づくインフラの段階別施策

 

計画・設計段階では、持続性を考慮した計画策定とインフラ長寿命化対策の推進、低炭素材料や工法の活用促進、環境負荷低減に係る技術を開発する。

省 CO2 に資する材料として、例えば CO2 吸収型コンクリートの実用化が図られて いるが、コストが高く(既製品の約3倍の 100 円/kg)、コンクリートの中の鉄骨が 錆びやすいため、用途が限定されるなどの課題があり、性能向上に向けた技術開発 や低コスト化の動向を踏まえつつ、建設業や建設素材製造業と連携して、活用促進 に向けた検討を進める必要がある”と「国土交通グリーンチャレンジ」資料で述べられている通り、建材メーカーには品質を保ちながら低炭素を実現する製品開発が求められている。

 

直轄土木工事分野では、企業のカーボンニュートラルに向けた取組を評価するモデル工事の実施を重点施策に取り入れており、既に、関東地方整備局では令和3年8月より「CO2吸収型コンクリート等、NETIS登録されているカーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けた新技術の活用実績を有している企業を新たに加点評価」とする方針を定め、他地方整備局も「カーボンニュートラル」への取組実績を加点対象として運営方針を公表している。

 

 

共用・管理分野では、インフラサービス省エネ化の推進として、道路では道路照明灯のLED化や道路、照明施設の高度化、鉄道では省エネ設備等によるエネルギー消費効率の向上を進める。港湾では、カーボンニュートラルポート形成の推進や、ダムへ再エネを導入する。

 

このように、地方自治体だけではなくメーカー側も環境配慮や低炭素型製品の開発を加速させており、今後も「国土交通グリーンチャレンジ」推進に向けた取組が広がっていくと予想される。これからも各社・各自治体などの取り組みを注視していきたい。