(株)アーバンエックステクノロジーズ

企業概要

 株式会社アーバンエックステクノロジーズは、「都市インフラをアップデートし、すべての人の生活を豊かに」をミッションに、都市インフラが抱える様々な課題をデータ×AIの力で解決するべく事業を展開。東京大学での研究成果をベースにAIによる独自の画像分析技術を開発し、車載スマートフォンやドライブレコーダーで撮影した画像から道路路面の損傷箇所を自動で検出する「RoadManager」と「ドラレコ・ロードマネージャー」を提供している。
低コストで目視検査よりも効率良く点検可能な同社の技術は、地方自治体が抱える道路メンテナンスの課題解決策として注目されており、ドラレコ・ロードマネージャーは「第6回インフラメンテナンス大賞」(国土交通省)、「good digital award 2022 部門最優秀賞(デジタル庁)など多くの賞を受賞、今後の活躍が期待されるスタートアップとして様々な表彰、選定を受けている。

会社情報

メーカー
(株)アーバンエックステクノロジーズ
所在地
150-0002 東京都渋谷区渋谷1-12-2 クロスオフィス渋谷706
企業情報
https://urbanx-tech.com/

インフラの要となる道路メンテナンスの課題

  高度経済成長期に一斉に整備されたインフラは、近年急速に老朽化が進んでおり、維持管理コストの負担が増大している。日本全国の道路の総延長は約128万km、そのうち8割以上は市区町村が管理する市町村道路だが、維持管理費に加えて専門職員の不足により、十分な管理を実施できない自治体が増えているのが現状だ。

しかしこれまでの道路の点検手段は、専門職員による目視か高価な専門点検車両による点検しかなく、コスト・人材不足を補う点検の効率化が喫緊の課題となっている。アーバンエックステクノロジーズは、東大発のスタートアップとして2020年に創業。インフラの課題に着目し、「どうしたら都市インフラを持続可能なものにアップデートできるのか」という問題意識のもと、予算規模や人材、置かれている環境に関係なく、どのような管理者であってもインフラを適切に守っていける「しなやかな都市インフラ管理を支えるデジタル基盤をつくる」ことを2025年までのビジョンとしている。その第一弾の事業として、まずはインフラの要となる道路の管理業務からスタートした。

 

 

 

 

 

 

   目視をAIに置き換えることで道路点検を効率化

 

 RoadManagerは専用の機器が必要なく、スマートフォンにアプリを入れ管理する道路を走るだけで、経験に関係なく誰でも一定レベルの点検ができる道路の総合管理ツールである。スマホで撮影した画像データから道路の損傷箇所を自動で検知・処理し、必要なデータのみをサーバーへ自動送信する。結果はWeb上の管理画面で表示され、管理者は補修対象の選定や補修箇所の指示書を作成でき、補修担当者との連携も簡単にできる。一番のポイントは「エッジ端末といわれるスマホやドライブレコーダーで処理できる」低コストでシンプルな運用だ。

ほかにもスマホやドラレコでデータを収集するサービスはあるが、データはパソコンなどに移動して分析することが多いのだという。画像解析の精度は、路面調査はAIに任せて人は路面以外の点検をするという自治体もあるほどで、業務での運用に十分な損傷検出能力と評価されている。また技術面だけではなく、実際に利用する管理者にとって使いやすく、日常業務の効率化につながるオペレーション部分の機能も充実している。

もう一つの「ドラレコ・ロードマネージャー」は、三井住友海上火災保険株式会社との協業で運営しており、三井住友海上のドライブレコーダー付保険に加入する車から収集したデータを使えるのが特徴だ。大手小売や物流事業者等の車両から収集した全国の路面データを活用するため、自治体職員が巡視しなくても道路損傷の検出を行うことができる。もちろん、それだけで100%カバーできるとはいえないが、将来的には街を走る様々な車を活用し、すべてのデータを取得できるようになるのが理想だという。その一例として、2023年6月から出光興産株式会社との協働で、出光興産グループの製品配送車両にシステムを搭載したサービスの提供を開始した。こうした様々な企業・団体との共助が進めば、いずれ全国の道路データを集めることも十分可能かもしれない。

 

 

 

   次世代型のインフラ維持管理を目指す「MCRコンソーシアム」

 

こうした同社サービスの強みは、同社が事務局を務めるMy City Report(MCR)コンソーシアムの存在も大きい。MCRコンソーシアムは、市民と自治体が協働してまちの課題に取り組む市民協働投稿サービスと道路損傷検出サービスの2つで構成される「My City Report(MCR)」を利用する団体が参加しており、東京都や神奈川県など約30の自治体が会員になっている。

2016年度にMCRのプロジェクトが始まり、2019年度から共同運営のコンソーシアムとなった。同社メンバーは会社設立前から、このプロジェクトを通じて多くの自治体と実証実験を行ってきており、実際に利用する自治体とともに試行錯誤しながら積み上げてきた長年の蓄積がある。またMCRコンソーシアムは、そもそも市民の知を有機的に組み込んだ次世代型のインフラ維持管理にトライしたい自治体の集まりである。コンソーシアムではそのための情報交換や機能改善についての話し合いを行っており、自治体にとって有益な場となっている。同時に、同社にとっては常に生の意見を聞くことができる貴重な場であり、同社が次々と新しいサービスを生み出す発想の源にもなっているといえよう。

 

 

 

 

   すべてのインフラ管理のデジタル化を目指して

 

現在、道路損傷検知サービスは、RoadManagerとドラレコ・ロードマネージャーでおよそ20の自治体で本導入されているほか、国道や首都高速道路でも実証実験中であり、その範囲は拡大しつつある。また2023年にはRoadManagerの関連サービスとして、AI技術を用いてひび割れ率やIRI(平坦性)など、国が指定している指標で路面の簡易的な評価を行う「RoadManager路面性状簡易評価パッケージ」を発表。

現在、約20の自治体が試験利用中で、2024年からの本格提供を目指している。そのほかにも道路以外のサービスとして、東京都と盛土見守り業務に向けて盛土の異状箇所を自動検知する機能を開発。さらには国土交通省が推進する「不動産IDを活用したモデル事業」の実施事業者に採択され、不動産データと土木データとのマッチングに取り組むなど、活躍の幅が確実に広がっている。

今後の展望としては、管理するインフラを増やすことが第一だが、民間向けのサービスも検討しているという。インフラのオーナーは自治体だけではなく、例えば工場などもインフラの一つと考えるからだ。さらには、大手建設コンサルタントと組んで東南アジアや南米などで実証事業を行っており、海外展開も視野に入れている。インフラの老朽化は世界共通の課題であり、「世界中で利用できる都市インフラ管理のデジタル基盤をつくる」ことが最終的な目標といえそうだ。

 

 

 

 

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