(株)CORDER

企業概要

 株式会社CORDERは、「建設業で働く人々を不合理から解放する」をミッションに、積算領域の支援サービスを行っている。代表取締役の田邊健人社長は、コンサルティング会社で大手金融機関のIT投資施策支援やDX推進に携わってきた。
「金融業も建設業も社会や経済を支える重要な産業であり、古い体質を持つレガシー産業として共通点が多い。建設業界のITを活性化させなければ20年、30年後にはインフラが機能しなくなる。」と危機感を募らせた田邊氏は、これまでの知見を活かし2021年に株式会社CORDERを起業。建設業界のスタートアップ企業として注目を集めている。

会社情報

メーカー
(株)CORDER
所在地
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町4-17
TEL
03-6824-1641
企業情報
https://corder.co.jp/

建設業の構造改革に向けて

 業務整理とIT活用による課題解決を得意分野とするCORDERは、手始めに建設業界の設計士、施工管理技士、資材メーカーを中心に100名以上にヒアリング調査を実施し、工程管理の業務フローと現状の課題を整理した。さまざまな課題が浮き彫りになる中で、材料費や労務費などの見積り、発注といった調達領域の構造改革に重要性を感じたが、特に根深い課題と捉えたのは「積算業務」だった。人手不足や2024年問題から、外注化のニーズが高まっているが、積算技術者は不足しており、積算事務所もすべての案件に対応できない状況だ。

 

 

 

 

   人材不足の積算業務に新たなサービスを

 

 積算業務は、適正な工事費を算出するための重要なセクションであり、専門的な知識や経験が必要となるが、その一方で設計図書からの数量拾い出しには時間と労力がかかる業務だ。昨今ではBIM/CIMの活用から自動算出も進められているが、本格的な普及には時間を要する。人材を採用しても専門分野の教育には時間がかかるなど、積算技術者1人当たりの業務負荷はこれまでも建設業の課題に挙げられていた。そのような中、外注先を探す企業と積算の専門知識のある人材をマッチングするCORDERの「積算代行クラウド」は昨今ニーズが高まっている。

 

 

建築工事一式から、外構工事、電気設備工事、機械設備工事まで裾野は広く、工種や材料を問わず対応が可能だ。「数量拾いから積上げまで、自社の積算業務を省力化し、工数の90%を削減でき、さらに事務作業にかかるコストも抑えられる。」と田邊社長は語る。

また必要なときに必要な分だけを発注することができ、苦労していた人材確保も不要になる。準大手、中堅のゼネコンからの依頼をメインに、今年度は250件の受注を目指している。現在は、建築が主だが、今後は設計コンサルタント会社で経験を積んだ人材を活用し、土木分野など、公共工事にもサービス範囲を広げていく。

 

 

 

        

 

 

 

 

 

   効率化で、技術者の働き方を変える

 

 積算代行サービスは、問い合わせから発注依頼、納品まで、すべてオンラインで行われる。積算業務は、委託した専門知識をもつ技術者が3人1組のチームで対応し、CORDERが品質チェックや納期管理を行っている。前述したとおり、積算業務には高い専門性が求められるため、厳密なスキルテストを行い品質を担保している。現在、パートナーとして活躍しているのは、積算事務所、ゼネコンを中心に積算業務を専門としてきた人たちだ。

 

 

またフリーランス、副業で業務をこなしたい専門家からも人気が高く、パートナーとして登録する人の中には子育てや介護でフルタイムでは働けないが、これまでのスキルを活かして仕事をしたい、あるいは将来の独立や収入アップのために副業をしたいという人もいる。積算代行のビジネスモデルは、積算技術者の価値を適正に評価し、労働条件を改善していくことにもつながっている。

 

 

 

        

 

 

 

 

 

   積算領域から調達領域へ

 

 CORDERはテクノロジーを活用した自動化による生産性向上にも取り組んでいる。積算代行で蓄積されたデータや算出ロジックをもとに概算見積を自動化するシステムを開発しており、見積の効率化、見積管理、見積代行のサービス強化を進めている。

見積管理は単価を算出するため、毎回1案件あたり数十社へ見積依頼をするが、見積書式はExcelやPDFなどまちまちだ。一つ一つ確認して比較するには時間や手間がかかる。それを簡素化し、見積書の受け渡しや比較が簡単にできるサービスをシステム上で展開していく。さらにデータベースとして蓄積していくことで、調達領域のサービスに活用するのだ。

 

 

田邊社長は「今後は積算、見積から調達領域全体に事業を拡大することで建設業の構造を変えていくことを目指すとともに、BIM/CIMによる積算自動化など、業界ニーズ、トレンドに合わせた中長期のビジネスモデル変更も見据えていきたい。」と事業方針を語る。専門性の高い課題解決に向き合う姿勢と柔軟性を持ち合わせた田邊社長の手腕に、今後の活躍が期待される。

 

 

 

 

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