2022.03.18
「快適トイレ」に関する調査から見えること |
一般社団法人 日本トイレ協会 災害・仮設トイレ研究会
災害時のトイレと、建設現場のトイレはどのような関係があるのか。実は、災害時には
普段建設現場で使われている仮設トイレの余剰在庫が避難所へ運ばれていく。従って、
建設現場のトイレが良くなれば災害時のトイレも必然的に良くなるのである。国交省で
は2016 年10 月に直轄現場への「快適トイレ」設置を原則化した。
「快適トイレ」とは、建設現場を男女ともに働きやすい環境とするための取組みの一環
であり、男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「 快適トイレ」と名付けてその仕様
を定めた(洋式便座、水洗及び簡易水洗機能、容易に開かない施錠機能、等)。
2016 年10 月1 日以降に入札手続きを開始した土木工事から導入している。
建設業における労働環境改善が主な目的ではあるが、副次的に災害時のトイレ環境が改善
されることも視野に入れている。
「快適トイレ」の流通量から今後の流れを予測 |
直近の調査では「快適トイレ」の全国平均設置率は45.6%(国土交通省調べ)で、直轄現場
の半分以上で未設置となっている。しかし、原則化直後の全国平均設置率25%(国土交通省
調べ)と比較すれば、20%以上の伸びをみせており、増加傾向にあることも確かである。
原則化直後の調査では設置率が低い理由についても同時にヒヤリングされているが、
回答の中には「取扱会社が少ない」「レンタル会社の保有台数が少ない」等と供給不足が考
えられるという意見が多かった。原則化から5年が経過した現在、「快適トイレ」の流通量
はどのように変化したのか。災害トイレ研には国内の主な仮設トイレメーカー、レンタル会
社が多く在籍している。
2016 年の原則化を受け各メーカーでは「快適トイレ」の製造を進めてきた。
メーカーが製造した「快適トイレ」をレンタル会社が保有し、初めて建設現場での使用が可
能となるが、今回はメーカーの製造する全機種においての快適トイレの出荷比率、そしてレ
ンタル会社の保有する全機種における快適トイレの出荷比率の変化を調査した(図-1)。
調査対象時期は、2010 年10月、2015 年10 月、2020 年10月における和式トイレ、洋式
トイレ、2020 年10月においては「快適トイレ」それぞれの出荷比率をヒヤリングした。
和式トイレ、洋式トイレはその中で水洗式、簡易水洗式に分かれる(語句は後述する)。
結果を見ると、「快適トイレ」の原則化が始まった前後では洋式トイレ(快適トイレを含
む)の比率が原則化前のおよそ2倍になっている事が分かる。これはメーカー・レンタル
会社共に同様の傾向であり、多くの建設現場で使用されることを念頭に各企業が洋式トイ
レ、快適トイレの数を増加させていることがわかる。
前述の通り、直轄現場の設置率も25%から45.6%と1.8 倍になっていることを考えると、
製造比率の増加は設置率の向上につながっていると考えられる。
国交省だけではなく全国の都道府県やその他自治体等でも快適トイレの予算化が進んでいる
現状を見ると、今後もこの傾向は続いていくと考えられる。
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仮設トイレに関する語句の行き違いを防ぐ |
続いて当研究会では、仮設トイレに関する語句の定義付けを行った。これまで仮設トイレは
各社商品においてほぼ共通した大きさや仕様のものが多くその種類も決して多いものではな
かったが、「快適トイレ」の原則化によって各社の商品が多様化してきている。それに伴
い、発注の際に齟齬をきたすことを避けるために、特に「快適トイレ」に関連する語句を中
心に定義を明確にすることを目指した。カテゴライズは、仮設トイレの大きさ、洗浄方式、
処理方式、そして手洗器についておこなわれた。これらが明確になることで、仮設トイレ関
係者の間でしか通用しなかった語句を関係者以外の人とも共有することが可能となる。
例えば快適トイレの発注や災害時のトイレの手配等で仮設トイレの大きさや汚物の処理方式
について間違いが起こりにくくなる効果も期待できる。
これらは当研究会のHPに公開しており、今後周知を図っていく。(HPはこちら)
【仮設トイレの分類】
●大きさでカテゴライズ
●洗浄方式のカテゴライズ
●処理方式のカテゴライズ
●手洗器のカテゴライズ
今後の活動 |
「快適トイレ」の原則化から5年が経過し、建設業界ではその存在と仕様について周知が広
がっている印象を受けるが、国交省直轄現場への設置率が全体の半分に至っていない現状が
ある。当研究会では、様々な調査結果を「快適トイレ」の流通をスムーズにして設置率を上
げる手段として用い、それと共に災害時のトイレが良いものに変化していくための取り組み
を行っていく。
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