2022.07.27

【特集記事】三和エナジー株式会社

 

 

   燃料供給を通して幅広い業務を強力にサポートする

 

三和エナジー株式会社は、創業以来、建設現場の重機に燃料を配送することを、事業の

柱として展開してきた。それに加え、2000 年以降は大規模災害時の燃料配送などのBC

P 支援事業や、A 重油循環ろ過作業などのメンテナンス事業を含めた「トータルエネル

ギーソリューション企業」としてさまざまなニーズに対応している。

 

 

 

   大規模災害時に非常用発電機の燃料を供給

 

 

Q 「大規模災害時エネルギーサポート事業」について、教えていただけますか。

 

 当社は、工事現場の大型重機などに燃料を供給しています。関東に22 カ所の配送セン

ーと200 台のタンクローリー車両を有します。この配送ネットワークを活用し、もう一

方で行っているのがEmergency EnergySupport S ystem【EESS 】事業です。

 

 大規模災害が発生した場合には、必ずと言っていいほど停電が起こります。ここ数年B

CP(事業継続計画)の一環で各企業は災害時に備え、非常用発電機を設置していますが、

発電機を動かす燃料(軽油、灯油、重油)には限りがあります。現在、BCP における非

常用発電機の燃料備蓄の目安は72 時間分が望ましいとされています。それに満たない分

量の燃料を24時間、365 日いつでも配達するというのが【EESS】事業の概要です。

 

 また、【EESS】の中で給油サービスと同時に雑用水(非飲料水)を届ける給水サービ

スも行っております。さらに、発電機を設置していない企業、あるいは設置しているが、

台数が足りていない企業に向け、燃料と発電機の両方を届けて電力を復旧させ事業継続を

サポートするサービス【PESS】も展開しています。

 

 

 

 

Q 実際に災害が発生した時の【EESS】の対応について教えてください。

 

 災害時は直接、契約企業から連絡がある場合もありますが、パニック状態になり連

絡を忘れていることもあるので、当社から声がけし、安否と停電の確認等を行います。

地震など震度5 弱以上が起きたときには、契約企業からの要請がなくとも、出動準備

を整え待機し、震度6 を超える地震があった場合は基本的にはグループ会社の社員も

含め、全員が出社します。また、契約企業に停電が起きると自動的に起動するタイプ

の非常用発電機が設置されている場合、起動時に当社に警報信号が送られるシステム

も用意しています(図-1)。

 

 

図-1. 災害時の【EESS】のイメージ

 

 

 

   ネットワーク、訓練などで実行力を裏付ける

 

 

Q 災害発生対応時の【EESS】の燃料配送ネットワークについて教えてください。

 

 先述の22 カ所の配送センターと車両の他に、関西圏内にある( 株) 大同井本エナジ

ーとヒラオカ石油( 株)とのグループ化を果たしました。これにより三社合わせて、

33200 ㎘の燃料備蓄、700 台を超えるタンクローリー車を保有することになり、国

内最大規模の燃料配送グループとなりました(図- 2)。

 

図-2. 燃料配送のネットワーク

 

 

Q 災害発生に備えた訓練について教えてください。

 

 訓練は年2 回の社内訓練の他に、契約会社との合同訓練も行っています。合同

訓練は現場の事前確認にもなり、訓練によって得た関連情報(車両進入経路、タ

ンクの設置場所、給油口の口径など)は会社ごとに記録・保存しています。

 

 

 

   危険物施設をサポートするメンテナンス事業

 

 

Q 近年力を入れているもう一つの事業「メンテナンス事業」について教えてください。

 

 非常用発電機は停電時にしか動きません。したがって、一度タンクを満たせば、

そのまま10 年20 年使用しないケースもあり、メンテナンスをしなければ、燃

に水やサビ(スラッジ)がたまり、いざ動かそうとしたときにフィルターを詰ま

らせて、エンジンが止まってしまいます。 この対策として当社で提案している

のが、移動式A重油循環ろ過システム「ロカクリーン」による燃料のろ過作業で

す。「ロカクリーン」は専用車両に載せた循環装置を用いて、燃料を抜かずにタ

ンク内を清掃するシステムで、災害時のエンジン不始動などのトラブルを未然に

防ぎます。 

 

移動式A重油循環ろ過システム「ロカクリーン」

 

 

 また、非常用発電機の燃料備蓄量を増やす提案としてコンボルト型タンク(鋼製

タンクを非金属シートで被覆し、外側を15cm 以上のコンクリートで保護した軍

仕様のタンク)の販売も行っております。その他、危険物施設に関する全ての業務

をトータルで請け負います。

 

コンボルト型タンク

 

 

Q 今後の展望についてお聞かせください。

 

 中・長期的な展望としては、給水事業の拡大、あるいは災害時に必要であろう

資機材など、燃料以外の商品ラインナップを増やしていきたいと考えています。

短期的な展望としては、現在の契約企業に対しさらに手厚いサービスを行ってい

くような方向での事業展開を考えています。