2023.01.01

漁港プレキャストコンクリート工「プレキャストコンクリート製残置型枠工法」

漁港プレキャスト工法研究会

 

 

 「プレキャストコンクリート製残置型枠工法」は、コンクリート製の重力式係船岸(岸壁・物揚場)または同様の構造となる既存施設において、施設性能の維持・改善または向上のために実施される水中コンクリートによる「腹付け工」を、プレキャストコンクリート製の型枠を構造物の一部とする工法により、効率的かつ安全に施工する工法である。
 

 漁港施設等における「腹付け工」の施工では、スチールフォームを海中に設置し水中コンクリートを打設する方法が従来工法となっているが、静穏度の高い港内でも波や流れの作用によるスチールフォームの被災は後を絶たず、その型枠の中の作業安全度は著しく低い。一方、プレキャストコンクリート製型枠部材を用いた施工は、海中において段階的に施工が可能で、工期短縮や安全性の面で優位な工法である。
 

 さらに、漁港施設の長寿命化対策工法としてもプレキャストコンクリート製残置型枠を利用することにより、従来の海中施工における課題が解決でき、施工効率と作業者安全度の向上に寄与する標準的な工法として開発された。
 

 また、本工法は従来工法に比べ、工期短縮等による経済性向上及び作業の安全性向上などの優位性が評価され、第2回インフラメンテナンス大賞において、特別賞を受賞した。

 

 

 

   特 徴

 

 

 

 

• スチールフォームでの施工では海底面から天端まで型枠が設置され作業リスクの高い閉鎖空間が発生する。しかし、残置型枠工法では1段毎の施工が可能で、閉鎖性が解消され、非常時の退避行動がとりやすいことと、閉鎖空間が無いため作業効率の向上が図れる。
 

• 段階施工のため、生コンの確保が容易かつ施工性が良好で、漁港工事のような小規模打設が可能となる。また、短期間の静穏下作業で施工が可能となる。さらに段階施工分の資材搬入で済み、ヤード面積の低減及びヤード計画が容易となる。

 

 

 

   施工写真

 

 

 

 

 

 

   防波堤や岸壁新築工事への活用

 

 この工法は、老朽化した漁港施設の長寿命化対策として、岸壁や防波堤の腹付工法として活用されてきたが、防波堤などの堤体拡幅や施設の新築工事にも応用できる工法である。