2017.09.26
土地利用の高度化が進む 首都圏と中部圏
非常口の地中連続壁工
北品川非常口および変電施設(2017年6月) |
山間部のトンネルに続いて品川駅と名古屋駅においても工事に着手している。
地上には東海道新幹線など既設の営業路線が走る。ここでも技術的に難易度の高い工事が展開されることになる。
大深度利用の深さは最大で110mに及ぶ |
大深度地下を利用するのは、地下を含めて土地利用の高度化や複雑化が進んでいる首都圏と中京圏に対応するためである。
大深度地下使用法という法律を用いる。建築物の地下利用などに用いられていない地下40m以上、または建築物の基礎を設置するために通常は利用されていない支持地盤面から10m以上の深さのいずれか深い方に対して適用される。大深度地下使用法に基づく認可を受けることによって、公益性のある一定の事業は事前に補償をしなくても使用権を設定することができる。
首都圏では地下40m~110mの深さとなり延長が約35km、中京圏でも深さ40m~100m、約20kmに及ぶ区間について大深度地下を利用する。
首都圏の起点となる品川駅は東海道新幹線の品川駅を支えながら、その地下約40mの位置に2面4線の駅を建設する。
営業線直下での工事となり、東海道新幹線の安全・安定輸送に影響を与えないことに加えて、地下埋設物を避けるといった複雑かつ大規模な工事となる。
品川駅の工事は2016年1月に安全祈願・起工式を行い、本格的な土木工事に着手した。現在は、地下埋設物を確認するための試掘や調査をほぼ完了し、土留め壁工を施工している。2018年には掘削工事に着手する予定である。
また、名古屋駅は、東海道新幹線に加え、昼夜とも運行する在来線直下での工事であるほか、東海道新幹線の品川駅と比較して歴史があり、既存の構造物が複雑で、地下に多数の支障物が存在することなどから、大規模かつ複雑な工事となる。
名古屋駅については2016年12月に安全祈願・起工式を行い、本格的な土木工事に着手した。
在来線部の一部の線路の切替工事を行ったほか、線路内での作業ヤードの整備や、線路を受け替える工事桁架設工事に向けて、地中の支障物撤去工事などを行っている。
また、新幹線部では、高架下や西口駅前広場での作業ヤードの整備などの工事を行っている。今後、現在の線路を受け替えるための杭の施工などを行う予定である。
JR東海は、いずれの工事についても、工事の安全や環境の保全、地域との連携を重視して計画を進めることとしている。
大深度地下使用法の手続き
(2017年9月時点)
※図版の出典:JR東海