2017.09.26
大阪までの開通時期を最大で8年前倒し
日本の大動脈輸送の二重系化へ
LO系 |
開業時期については、品川から名古屋までが2027年を予定している。その後、8年間のJR東海の経営体力回復期間を設けて2035年に名古屋以西の工事に着手する計画だった。
しかし、2016~2017年に中央新幹線の建設を対象に総額で3兆円の財政投融資が行われたことにより、JR東海の経営リスクが軽減されることになった。
具体的には、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を経由してJR東海に貸し付けられる。29年~30年間は元本の償還はなく、その後の10年間で元金均等で償還していくという好条件によってJR東海の金利上昇や資金調達、償還などのリスクが低減されることになったのである。
財政投融資の活用によってJR東海の経営体力回復期間の短縮が可能となり、名古屋開業後、連続して大阪への工事に速やかに着手し、2045年の予定だった大阪までの全線開業期間を最大で8年前倒しすることを目指すことになった。
中央新幹線計画 財政投融資を活用した長期借入の実施
三大都市圏が一つの巨大な都市圏へ |
東京~大阪間の大動脈である東海道新幹線にとっても効果が大きい。
リニア中央新幹線との二重系統化によって、開業から50年以上を経過したことによる経年劣化対策に加えて、高い確率で発生が予想されている南海トラフ巨大地震などの自然災害への抜本的な対策にもなる。
さらに、超電導リニアによる圧倒的な時間短縮効果によって、首都、中部、近畿の三大都市圏が一つの巨大な都市圏を形成することもできる。
活動範囲が広域化して、ビジネスの進め方や余暇の過ごし方などライフスタイルが変化するといった多くの可能性がある。
大阪まで開業すれば、現在は通過駅の多いのぞみ中心の東海道新幹線のダイヤを停車駅の多いひかりや各駅停車のこだま中心に移行させることができる。
これによって、沿線都市からも三大都市圏への到達時間が短縮されることになる。これもJR東海がリニア中央新幹線と東海道新幹線を一元的に経営することによって可能になる。
多くの効果が期待されているリニア中央新幹線の今後の動向を注目していきたい。
(2017年9月時点)
※図版の出典:JR東海
~当記事作成にあたりJR東海様にご協力をいただきました~