2018.03.20

地方創生①

 

 折り返しとなった2017年
 新展開に向けた新たな基本方針を策定


 

 

 

看板掛けの様子

 

 

 

地方をいかに活性化させるか。国が取り組んでいる地方創生が転換期を迎えている。2014年にスタートし、基本とする目標は2020年。中間の2017年には既存の取り組みを加速化するため、新たな展開を図る方針を打ち出した。

 

 

 

   加速する少子高齢化や過疎化が背景に

 

地方創生とはどのような事業なのか。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と呼び、2014年に地方創生型交付金を1,700億円計上し、国は総合戦略を策定した。

 

 

 

 

翌年には、地方版の戦略を策定するなど体制を整備。さらに、2016年には交付金の対象を広げるなどして本格稼働をした。

 

そのうえで、中間年である2017年6月には、新展開に向けた「基本方針2017」を閣議決定したというのがおおまかな経緯だ。

 

2017年地方創生の新展開

 

 

 

地方創生とは、いかに地域を活性化させるかであり、その背景には高齢化や過疎化などがある。少子高齢化が指摘されて久しいが、わが国の人口自体も2006年をピークに減少を続けている。2016年10月現在の総人口は1億2,693万3,000人であり、6年連続して減少している。

 

一方で、65歳以上の高齢者人口は3,459万1,000人と総人口に占める割合が27.3%に達し、世界的に見ても空前の規模と速度で高齢化が進行している。出生数は97万7,000人で、明治からの統計以降初めて100万人を割り込んだ。推計では、2065年の総人口は8,808万人。高齢者人口の割合は、38.4%にとなる。

 

この傾向が、より進行しているのが地方である。さらに、東京への一極集中が継続している。東京圏の人口は3,629万4,000人となり、全人口の4分の1を占めている。

 

では、地域経済の現状はどうなのか。完全失業率は全ての都道府県で改善されて、史上初めて有効求人倍率は1倍を超えた。統計面では雇用、所得環境の改善が続いている。

 

しかし、消費や生産などの経済活動には地域間のバラツキがあり、東京圏と他の地域との間には所得などの差が生じているのが実情だ。

 

これらの現状を踏まえて策定されたのが、「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」である。情報、人材、財政支援の3本の矢を掲げている。地域資源を活用したしごとづくりや空き店舗、遊休農地、古民家などの遊休資産を活用していく。地域経済を牽引していける事業にも投資する。

 

地方創生版・3本の矢

 

 

 

東京一極集中を是正するために大学改革や地方への企業の本社移転を促進する。政府機関も地方に移転するほか、中央省庁のサテライトオフィスの設置も検討していく方針だ。

 

2020年の目標年次までには、若者雇用者数を新たに9万8,000人創出する。農林水産業の6次産業化を進めて市場規模を2014年の約2倍に相当する10兆円に拡大。さらに結婚・子育て、まちづくりの支援を実施していく。

 

では、その実施状況はどうなのだろうか。地方創生には、交付金のほかに中心市街地活性化、地域再生、都市再生、環境モデル都市・環境未来都市などの事業が展開されてきている。

 

                                 (2018年3月時点)

                        ※図版の出典:内閣官房内閣広報室