2018.03.20
中心市街地活性化(青森市)
認定第1号の青森市 注目される継続実施した第2期の成果 |
富山市とともに中心市街地活性化基本計画の認定第1号となった青森市。第1期計画の実績や課題を踏まえて2012年からは第2期計画に取り組んできた。
10年以上にも及ぶ取り組みによって中心市街地がにぎわいの交流拠点としての基盤や活動組織も整ってきたなどの成果を踏まえて、これまでの「創造」から「確立」へのステップアップを目指してきた。
ハイカラな地区だった中心市街地 |
計画期間は2012年4月から2018年3月まで。対象区域は商業施設や業務、公益施設が集積している地区を中心に青森駅、国道、国内外からの海の玄関口となる大型旅客船バースの主要交通機関で囲まれた116.7haとした。
中心市街地が空洞化と無縁だった時代には、最先端の商店街があるハイカラな地区として市内外から注目されていた。多くの都市がそうであったように「街に行く」と言えば、中心商店街に行くことを意味していた。
青森市の中心市街地区域図 |
第2期計画では、街歩きが楽しめる回遊動線の整備、交流機能の強化、公共交通機関の利便性の向上や定住人口の増加など、歩いて暮らすことのできる質の高い生活空間であるウォーカブルタウン(遊歩街)の確立を目指してきた。
目標は4項目。まず、多くの人が訪れたくなる魅力ある街にして歩行者の通行量を増やす。多様な人々を迎え入れる交流の街づくりを進める。歩いて暮らしやすくする街ぐらしを促進して夜間人口を増加させる。そして、商業を活性化し空き地や空き店舗率を低減させていく。
4項目の目標に沿って具体的な数値も設定 |
これらの目標について具体的な数値も設定した。青森駅周辺地区など市街地の整備改善によって歩行者の通行量は1日当たり3,506人の増加を見込んだ。観光客については、青函連絡船の八甲田丸やベイエリアにあるアスパム、ワ・ラッセといった施設を中心に年間約62万人増とした。空地や空き店舗率は3.3ポイント改善させて13.1%にする計画だった。
主要な事業として、青森駅周辺整備がある。自由通路や駅、都市サービス施設を一体的に整備するものだ。駅の東と西口の機能を分担して多様な交通手段に対応できる交通ターミナルも整備する。実施主体は青森市である。市民の台所と呼ばれる古川市場では、老朽化した建物や空き店舗の共同化、集約化によって居住や公共的通路、ポケットパークを整えた施設の整備に地元の街づくり協議会が取り組んできた。
古川市場地区の状況
55の事業を展開 |
優良建築物等整備事業を実施してきたのが、中新町ウエスト地区である。老朽化した中小の小売店舗などを共同化、集約化して魅力的な商業空間やパブリックスペース、居住など複合的な機能を持つ施設にするものだ
ケーブルテレビのネットワークを活用した情報発信センターのほか、教育・人的交流の活動拠点やオフィスなどの多機能型の施設にする事業も実施してきた。まちづくり合同会社とまちづくり協議会が実施主体である。
このほか、第2期計画での事業は55ある。土地区画整理や市街地再開発、道路や公園、駐車場など公共関連が7事業。子育て支援など都市福祉施設が7事業。公営住宅を始めとした住宅供給と居住環境向上のための事業が3事業である。
そして、中小小売業など商業の活性化に関連したものが38事業ある。商業ベンチャー支援、空店舗対策、活動拠点の設置、雪灯りまつりアート縁日といったイベントの開催。観光ガイドの育成と運営、青森港の国際化の推進など多彩な事業を展開してきた。具体的にどのような成果があったのか。今後も注目していきたい。
(2018年3月時点)
※図版の出典:青森市