2018.11.12
大水深ターミナルなど進む機能強化
出典:国土交通省 |
港湾施設の機能強化も進んでいる。大水深コンテナターミナルや港湾運営会社に対する国の出資制度を創設して競争力を強化する。
船舶の大型化によるコンテナターミナルへの影響 出典:国土交通省 |
西日本では大阪港の北港地区で、水深16mの国際海上コンテナターミナルの整備が2026年の完成を目指して事業中のほか、神戸港のポートアイランドと六甲アイランドでも水深16mの国際海上コンテナターミナルが整備中である。完成は2020年を予定している。
東日本でも東京、川崎、横浜の京浜3港を対象にして事業を実施中である。臨港道路と同時に水深16mの国際海上コンテナターミナルの整備事業が実施されているのが東京港である。完成予定はともに2019年。
出典:国土交通省 |
川崎港でも2023年の完成に向けて臨港道路の建設が進む。横浜港では、臨港道路に加えて水深18mの国際海上コンテナターミナルが整備中で、2021年の完成を目指している。
世界最大級のコンテナ船にも対応 |
コンテナ船の大型化とわが国港湾の最大水深岸壁の推移 出典:国土交通省 |
これに先立ち横浜港では、南本牧ふ頭に世界最大級のコンテナ船にも対応できる国内唯一の大水深・高規格の水深18mのコンテナターミナルを2015年から暫定供用している。
岸壁の延長は400mあり、4機24列対応の荷役機械を備え、膨大な数に上るコンテナの荷役作業を効率化した。岸壁のほか、荷捌き地、護岸など一連の施設は耐震や免震対策を実施しており10年掛かりで整備。総事業費は924億円だった。荷捌き地は国が直轄事業で整備し、岸壁と一体で港湾運営会社である三菱倉庫に貸し付けている。
課題だったトレーラーの渋滞を緩和 |
国際コンテナターミナルにとって大きな課題が渋滞だった。ターミナルゲートの前で運搬するトレーラーが大渋滞をする光景が頻発していた。輸送効率が低下し、輸送コストにも影響し、国際競争力を高める上での障害にもなっていた。
そこで実施したのが、渋滞対策事業である。ゲートのオープン時間を拡大した。混雑時間帯に集中するトレーラーを非混雑時間帯である早朝や昼休みに分散するようにしたのである。
港によって異なるが、朝は7時30分や8時に繰り上げ、昼の12時から13時にも作業した。これによって、例えば阪神港では朝に最大で5.6㎞あった渋滞延長が3.3㎞に、昼も5.4㎞から3.2㎞に減少した。
荷役システムを高度化する |
ターミナルの生産性向上にも取り組んでいる。コンテナ船の大型化や労働人口の減少が見込まれることなどに対応するためである。
神戸港と横浜港では、荷役システムの高度化実証事業を2016年から3年間の予定で実施してきている。
1つがRTG(門型クレーン)の遠隔操作化である。これまではオペレーターがクレーンの運転席から操作していたが、無人RTGを用いて管理棟から遠隔操作する。作業環境の改善、安全性や生産性の向上を目指したものだ。
【現状】有人RTGによる荷役作業 |
【将来】無人RTG遠隔操作化による荷役作業イメージ 出典:国土交通省 |
もう1つは情報処理技術を用いたコンテナ物流の高度化である。まず、ターミナルの出入り口のゲートでの搬出入票の提示を省略、情報処理技術による自動受付とし、処理時間を短縮する。
ヤード内の荷役作業については、車両情報検知システムを用いて車両の位置を把握。手戻りの少ない効率的な荷役とすることで、時間を短縮する。
これらの実証事業の結果を検証したうえで、順次本格導入していく方針である。
(2018年11月時点)