2018.11.12

国際コンテナ戦略 港湾①

 

 船舶の大型化に対応し官民が協力して機能を強化


 

 

 

 

 

四方を海に囲まれたわが国では、輸出入物資の多くを海運が担っている。

 

主流となっている国際コンテナでは、積載する船舶の大型化が進み、コストの削減に加えて主にアジア諸国と遜色のないサービスの提供が求められている。

 

実現に向けて国が取り組んできたのが、国際コンテナ戦略港湾と呼ぶものだ。官民が協力して海運の増加にむけて港湾に加えて背後地の物流機能も整備していく。

 

 

 

   公設民営化で国際競争力を強化する

 

国際コンテナ戦略港湾とはそもそも何なのか。話しは2009年に遡る。

 

国土交通省の成長戦略会議で、海洋国家日本復権の一環として大型化が進むコンテナ船に対応してアジアの主要国と対抗できるコストやサービスの実現を目指して、選択と集中に基づいた港湾を選択することにした。

 

翌年には、民の視点による港湾運営やコストの低減策、国内貨物の集荷策などについて総合的に判断して阪神港と京浜港を選定した。

 

内航、トラック、鉄道よる輸送網を徹底的に整備すると同時に民間企業が出資する港湾運営会社を設立して戦略的な一体運営によって公設民営化による国際競争力強化を目指すことにした。

 

実現に向けて法制面も整備。さらなる船舶の大型化や船会社間の連携によって基幹航路の寄港地に絞り込みが進んでいる状況を踏まえて、2014年には国際コンテナ戦略港湾推進委員会で戦略港湾への貨物の集荷、産業の集積による創荷、大水深コンテナターミナルの機能強化、国の港湾運営会社への出資制度創設の3本柱による競争力強化の方針が打ち出されたのである。

 

 

国際戦略港湾競争力強化対策事業                出典:国土交通省

 

 

 

2014年に阪神港の港湾運営会社となる阪神国際港湾会社、2016年には京浜港の運営会社となる横浜川崎国際港湾会社が設立されている。東西の国際コンテナ戦略港湾で、国と港湾管理者、民間の協働体制が確立されることになったのである。

 

 

 

   大水深ターミナルの整備や荷役の効率化

 

国が目指した政策の目的は、国際基幹航路のわが国への寄港を維持、拡大して企業の立地環境を向上させて国際競争力を強化。国内の雇用と所得を維持すると同時に創出する。

 

 

わが国港湾とアジア主要港との欧米基幹航路寄港便数の比較     出典:国土交通省

 

 

 

国際コンテナ戦略港湾に寄港する欧州基幹航路の増便やアフリカ、南米、中東、インドなどの寄港が少ない航路の誘致も進めるといった目標も打ち出した。

 

このために国が打ち出したのが、国際コンテナ戦略港湾の運営会社に対する集荷、背後に立地する物流施設の整備に対する支援、さらにコンテナ船の大型化に対応するための大水深コンテナターミナルの機能強化や荷役システムの高度化などである。

 

集荷については、促進するための補助事業を設けたり、新規航路を開設した。

 

創荷については、物流施設の新設のほか、長時間の海上輸送を可能にする鮮度維持技術を活用したコンテナの活用にも取り組んできた。

 

そして、機能強化のために世界最大級のコンテナ船に対応できるターミナルの整備、荷役のための渋滞対策、ターミナルの生産性向上に向けた、クレーンの遠隔操作や情報処理技術の活用を進めてきている。

 

                               (2018年11月時点)