2019.07.24
目標にしてきた世界一コンパクトな大会
追い込みに入ってきた施設整備
開催時期が刻々と迫ってきている東京オリンピック・パラリンピック。
設計問題などで揺れたメイン会場となる新国立競技場のほか、各種の競技場、選手村などの整備も追い込みに入っている。
国が整備する会場もあれば東京都が新設あるいは改修して利用する施設もある。
追加種目がすべて採択に 官民が一体となった二度目の東京五輪 |
日本で4度目となるオリンピック。初開催となった1964年の東京大会では、国立競技場や国立武道館、代々木競技場などが建設された。大会に向けて東海道新幹線が開通し、首都高速道路、地下鉄などのインフラも整備され、戦後日本の復興成長ぶりを国内外に示した。その後、冬季大会の札幌、長野と続いた。
では、東京オリンピック・パラリンピックとはどのような大会になるのか。日本選手団の活躍に期待がかかる一方で、開催国として円滑な競技の運営、国内外からの観客に対するアクセス、宿泊への対応など課題は多い。整備計画を含めて東京都や公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、大会組織委員会)、国、鉄道や道路の管理者、民間企業などが、それぞれ大会の成功に向けて取り組んでいるというのが実情だといえる。
ここで、まずは開催までの足取りをたどってみたい。東京での開催は、2度にわたる挑戦で実現した。2016年大会に立候補したが、リオデジャネイロに敗れてしまった。しかし、当時の石原慎太郎都知事は再度2020年大会に立候補する方針を示し、2011年に都議会も招致を可決。政府も閣議で了承した。
立候補していたのは、東京のほかローマ、マドリード、イスタンブール、ドーハ、バクーの6都市。その後、ローマは財政難を理由に辞退。2012年にカナダで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で開催能力などの面から東京、マドリード、イスタンブールの3都市に絞られ、2013年9月の委員会で東京での開催が決まった。
開催日程は「第32回オリンピック競技大会」が2020年7月24日から8月9日、「第16回パラリンピック競技大会」が8月25日から9月6日である。
競技数は立候補当時オリンピックがリオ大会と同じ28競技、パラリンピックが22競技だった。加えて大会組織委員会が提案していた追加種目がすべて採択された。
追加になったのは、野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技で、この結果、2020 東京オリンピックは33競技、339種と史上最多となる。
2つのゾーンを中心に競技会場を配置 世界一コンパクトな大会目指す |
競技は、東京都内を中心にした43会場で行われる。都内は、2会場に大別される。
まず建設中の新国立競技場のほか、1964年の大会会場ともなった日本武道館や代々木競技場などを活用した都心部のヘリテッジゾーンと呼ばれるエリアだ。前回の1964年大会のレガシーを引き継ぐ一帯でもある。
そして、東京の未来を象徴するエリアと位置付けている有明、お台場、夢の島など東京湾沿いの東京ベイゾーンである。これらに競技場の85%を配置し、選手村からは半径8㎞圏内にあるなど世界一コンパクトな大会を目指してきた。
会場は、恒久と仮設を含めた新設と既存施設とがある。既存施設についても改修や増設する施設がある。新設は恒久8、仮設10の18ヵ所。既設は25ヵ所である。
新設される恒久施設は、新国立競技場のほか、オリンピックアクアティックセンター、有明アリーナ、海の森水上競技場などで、国が建設するのは、国立競技場だけである。このほか施設は東京都が整備する。
東京都では、招致の時点で作成した会場計画について都民の理解を得られるよう大会組織委員会とともに再検討した経緯がある。開催理念であるレガシー、都民生活への影響、整備費の3つの視点で協議を重ねた。
新設の恒久施設については、開催前年の2019年度までに完成させるスケジュールを組んでおり、本番に向けたテストイベントが順次開催される。
戦後から20年足らずで荒廃から日本の急速な復興ぶりを内外に示した1964年大会。半世紀を経て開かれる2020年大会では、「すべての人が自己ベストを目指し(全員が自己ベスト)」、「一人ひとりが互いを認め合い(多様性と調和)」、「そして、未来へつなげよう(未来への継承)」の3つを基本コンセプトとし、史上もっともイノベーティブで、世界にポジティブな改革をもたらす大会にするという。
参加するアスリート数は、オリンピックが1万1,090人、パラリンピックが4,400人の予定で、授与される金メダルはそれぞれ339個と540個に上る。
(2019年7月時点)