2019.02.28
国民の安全・安心の確保
頻発・激甚化する自然災害に備える |
ソフト・ハードを含めて広範囲に及ぶのが2つ目の「国民の安全・安心の確保」である。
気候変動などの影響によって自然災害がさらに頻発、激甚化するのに備えて総合的な防災・減災対策を実施する。
同時に急速に進むインフラの戦略的な維持管理・更新を推進するとしている。
大阪北部地震に加え2018年に豪雨や地震災害が相次いで発生したことから、国では重要インフラの緊急点検を実施。
この結果を踏まえて「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」をまとめ、67の対策を集中的に実施していくことにしている。
「水防災意識社会」の再構築に向けた水害対策の推進には、前年度に比べ52%増の6,030億円を計上した。
住民主体のソフト対策のほか、堤防の嵩上げなどの河川に加えて下水道などを含めた浸水を防ぐハード対策も促進する方針である。
集中豪雨や火山噴火などに対応した総合的な土砂災害対策には、67%増の1,281億円だ。
人家や公共施設、インフラ、避難場所などを守る土砂災害防止施設を重点的に整備する。避難訓練や防災についての講習会といったソフト対策も同時に進める。
発生が懸念されている南海トラフ巨大地震、首都直下地震対策は、46%増の2,521億円である。
救助・救急ルートを確保するための計画策定に加えて、海上からの被災地支援体制も強化する。河川や海岸堤防を耐震化して、水門は遠隔操作や自動化できるようにする。
東日本大震災で問題となった帰宅困難者については、受け入れ施設の整備を支援。
人的被害などを防ぐため密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化促進に17%増の187億円を計上。建て替えや耐震改修などを促進する。
さらに、災害発生時でも陸上、海上、航空の輸送ルートを確保するために35%増の4,318億円を計上して道路の耐震化のほか、災害に強い物流システムを構築していく。
地域に対する総合的な支援策を実施 |
深刻化するインフラの老朽化。対策費は9%増の4,882億円である。
施設ごとに点検・診断から修繕・更新までのメンテナンスサイクルを構築。地方公共団体に対しては技術面や財政的な支援も行う。
予防保全による長寿命化に向けて、新技術を開発、導入して、トータルコストを抑えて平準化する。新技術についてはメンテナンス産業の育成や拡大にも取り組む。
さらに、地域に対する総合的な防災や老朽化対策のための集中的支援として1兆3,173億円、18%にする方針だ。
頻発する風水害、土砂災害、大規模地震などを踏まえて、道路、河川、港湾などの予防保全策のほか、市街地の液状化対策も実施する。通学路の交通安全も確保していく。
主要なインフラについては、長寿命化計画に沿って対策を支援。これらを集中的に実施するための個別補助制度を創設、拡充する。
交付金については効果的かつ効率的な運用に向けて、地域の実情や地方公共団体のニーズに対応するための制度の改善も行っていくことも盛り込んでいる。
(2019年2月時点)