2019.02.28
国土交通省の予算内容について
災害対策など4分野を重点化 |
2019年度予算について、今回から国土交通省の予算内容について紹介していく。
予算総額は、一般会計が前年度に比べて18%増の6兆8,609億円で、このうち公共事業関係費が15%増の5兆9,663億円。東日本大震災復興特別会計が1%増の8,947億円、財政投融資は30%減の2兆3,745億円である。
予算編成の基本方針では、東日本大震災のほか毎年のように各地で発生している大規模な自然災害による「被災地の復旧・復興」と「国民生活の安全・安心の確保」、社会資本整備の戦略的推進による「力強く持続的な成長の実現」、「豊かな暮らしの礎となる地域づくり」の4分野を重点化していく。
なかでも重視しているのが、自然災害への対応である。2018年も局地的集中豪雨や地震が発生して人的、物的被害を受け、避難生活を余儀なくされている人も数多い。
気候変動の影響によってさらなる災害の頻発や激甚化も懸念されている。台風や集中豪雨などの気象災害に加えて発生が切迫しているとされる首都直下や南海トラフといった巨大地震から国民の生命と財産を守ることは最重要の使命であるとしている。
そこで、国土強靭化に向けてハードとソフトを総動員した防災・減災対策を推進する。防災意識社会への転換も図っていく。同時に戦略的なインフラの老朽化対策も進める。特に重要インフラの点検結果を踏まえた緊急対策を集中的に実施していく。
ストック効果を重視した事業を展開 |
次が経済の好循環の拡大である。政策の成果を全国により一層浸透させ、地域でも成長を実感できるようにする。
少子高齢化の制約を克服するためにも生産性の向上などストック効果を重視した社会資本整備を推進。人生100年時代に対応した居住環境の整備も進める。
合わせて消費税率の引き上げに伴う臨時と特別の措置によって良質な住宅の取得に対する支援を通して変動需要の平準化を図り、駆け込み需要を防ぐ。
国土強靭化には集中的な投資も |
社会資本整備のあり方については、未来への投資であり質の高いストックを次世代に引き継ぐ必要があるとし、既存施設の計画的な維持管理と更新を進める。
中長期的な視野に立って、成長の基盤となるような波及効果の大きい政策やプロジェクトを全国各地で戦略的に展開していく必要があると指摘。
このため事業予算を安定的、継続的に確保し、ストック効果を重視した公共投資によって経済成長と財政健全化の二つを実現していく。
特にこれまでの常識を超えた自然災害に対応していくためにも防災と減災、国土強靭化のための集中的な追加投資を盛り込んでいる。
公共投資を効率的にかつ円滑に実施するための方策としては、適正価格で契約をすると同時に適切な規模で発注するなどして地域企業を活用する。
計画的な発注によって、労働環境を改善。新技術やICTの活用に加えて適正な工期設定によって週休2日制の実現など働き方改革にも取り組む。
これらにより若者を中心にした人材の確保を促進し、将来の建設業の担い手を育成していく方針も打ち出している。
予算は限られている。求められているのは、効率的な事業の執行であり、地域のニーズを踏まえたうえで、投資効果や必要性の高い事業を重点的に実施していく。
さらに地域の活性化にもつながるPPP/PFIといった手法を活用するなどして民間資金やノウハウを積極的に活用していくことにしている。
(2019年2月時点)