2019.02.28
概論
平成最後の予算 初めて100兆円の大台を突破する |
平成最後となる31年度(2019年度)予算。一般会計の総額は101兆4,571億円で、前年度に比べ3兆7,443億円増加し、当初予算として初めて100兆円の大台を超えた。
10月に予定している消費増税に備えた経済対策費に加えて、社会保障費や防衛費も過去最大となっている。
予算編成のポイントとして、まず取り上げているのが社会保障である。全世代型の社会保障制度への転換に向けて、消費税の増税分を活用して幼児教育の無償化や社会保障を充実させていく。
重要インフラの緊急点検結果などを踏まえて防災・減災・国土強靭化計画のための3ヵ年緊急対策に基づいた160項目の事業について2020年度まで継続的に実施する。
国土強靭化に3年間で7兆円 |
一般歳出のうち、注目の公共事業関連費は6兆0,596億円で、前年度に比べて1.3%増加している。
一般歳出の伸び率1.8%を下回るが、国土強靭化が重点施策であり、2018年度の2次補正と合わせて国費が2兆4,000億円、3年間での緊急対策の事業規模は約7兆円に上る。
具体的な取り組みの主なもの見ていこう。
集中豪雨など繰り返される自然災害に対する河川、砂防、道路などの減災対策が2019年度当初予算と2018年度補正予算を合わせて1兆3,336億円である。
河川の樹木を伐採したり掘削して堤防を強化する。豪雨による土砂災害防止のため河川の堤防を整備し、道路の法面、盛り土対策を実施していく。同時にソフト面では洪水や土砂災害についてのハザードマップの作成を継続して進める。
学校施設の耐震化を促進 |
防災上重要なため池や治山施設、森林、漁港の対策費が2,145億円である。
ため池の改修や補強だけでなく統廃合を視野に入れた取り組みを実施。治山施設の設置、森林の伐採、漁港施設の補強などを行うものである。合わせて、ため池が決壊した場合の浸水想定区域図の作成などのソフト対策も継続する。
かねてから実施してきた学校施設の対策や地震津波観測関連の事業費が、重要インフラ等の維持機能関連費として2,216億円計上されている。
災害時の避難場所となるほか、児童や生徒が日常的な学習の場である学校施設の耐震化をさらに促進する。
また、津波から迅速な避難をするための海底地震津波観測網の整備が主な項目である。
地震関連では、給水の停止や断水の可能性のある水道施設の耐震化整備に325億円。
電力については、災害時に生活の支援拠点ともなるコンビニ等に対して、発生時に備えた自家発電や蓄電池、省エネ電力設備の導入を支援していく。
災害発生時に機能を発揮することが求められる警察施設については、建て替えや耐震改修を重点的に実施する。
交通マヒの原因となる信号機の減灯対策のための電源設備の更新整備も行う。さらに、自衛隊関連では災害発生時の支援活動に必要な資機材の整備など合わせて639億円を計上している。
このほか、製油所や油槽所の緊急対策として非常用発電設備などの整備増強への支援と耐震化・強靭化に218億円。防災拠点となる病院などの耐震化や非常用発電設備に対して合わせて118億円を支援する。
また、防災・減災について優先的に取り組むべき事業を推進するため、地方公共団体に対して交付金による支援から個別補助化による計画的で集中的な支援に切り替える。
(2019年2月時点)