2019.09.19

北海道新幹線

 

函館から道都・札幌へ 北の大地に響く槌音


 

 

 

 

 

前回の東京オリンピックに向けて1964年に開業した東海道新幹線東京~新大阪間。これを皮切りに路線網は拡大を続け、現在では北海道から九州までつながっている。

 

さらに整備も進む。これまでに紹介したリニア中央新幹線のほか、北陸新幹線のすでに開業している金沢からの西進。そして北海道新幹線の札幌へのルートである。

 

 

 

   東海道新幹線を皮切りに全国で5路線2,764㎞が営業中

 

全国の新幹線鉄道網は、1964年10月1日に開業した東海道新幹線に続いて、まずは列島を縦断するように整備が進められてきた。

 

東海道新幹線に接続する山陽新幹線の新大阪~岡山間が1972年3月に開業したのに続いて1975年3月には博多へと西に延伸された。

 

一方で埼玉県内の反対運動などがあって1982年6月に大宮から盛岡までの暫定開業となった東北新幹線は、3年後には上野まで乗り入れ、さらに2002年12月に盛岡から八戸、2010年には新青森へと北上を続けた。

 

これに対して列島を横断する上越新幹線の大宮~新潟間が1982年11月に開業した。長野冬季オリンピックに向けて北陸新幹線が高崎まで上越新幹線の路線を供用して1997年10月に長野まで開業し、2015年3月には金沢に乗り入れた。

 

九州では、まず2004年3月に新八代~鹿児島中央間、そして2011年3月には博多まで開業して山陽新幹線と接続した。

 

これに対して北海道新幹線は、2016年3月に新青森から青函トンネルを抜けて新函館北斗まで開業した。

 

現在営業している新幹線は5路線、2,764.5㎞に及んでいる。さらに建設中なのが北海道、北陸、九州の合わせて402.7㎞である。

 

 

 

   函館本線に沿うように延長211㎞、最長32㎞を筆頭に8割がトンネル区間

 

新幹線の建設中の区間の半分以上を占めるのが北海道新幹線である。新函館北斗から函館本線に沿うように北上して長万部や倶知安、さらに小樽を経て札幌に乗り入れる。

 

延長は211㎞。途中、新八雲(仮称)、長万部、倶知安、新小樽(仮称)の駅が予定されている。

 

設計最高速度は時速260㎞、路線の最小曲線半径は4,000mを基本とし、大きなカーブを描きながら北の大地を疾走する。とは言っても車窓の風景を堪能する暇はないようである。

 

建設されるルートの80%がトンネルである。高架橋や橋梁が合わせて15%、視界が開ける土工区間は5%に過ぎない。最長のトンネルは32㎞を超え、さらに10㎞以上が6ヵ所もある。

 

現在は工期の掛かるトンネルを中心に建設が進められている。例えば、新函館北斗駅の北にある北斗市の渡島トンネルである。長さは最長の32.675㎞。

 

このほか、ニセコ町の昆布トンネル(延長10.41㎞)、倶知安町の羊蹄トンネル(延長9.75㎞)などの建設が進む。

 

橋梁と高架橋が合わせて15%、切り土や盛り土による土工区間は5%に過ぎない。このため建設費は、149kmの新青森~新函館北斗間が約5,783億円だったのに対して、約1兆6,700億円と試算されている。

 

建設を担当しているのは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構である。完成後も施設を保有して、営業主体であるJR北海道に貸し付ける。

 

これに対してJR北海道は、受益の範囲内で貸付料を支払うことになる。

 

開業後に、並行する在来線はJR北海道から切り離される。すでに、新青森~新函館北斗間の開業後、JR江差線の五稜郭~木古内間は道南いさりび鉄道となっている。

 

さらに札幌まで開業すると、JR函館本線の函館~小樽間が並行在来線としてJR北海道から経営分離され、鉄道として存続する場合には道南いさりび鉄道に引き継がれる予定だ。ただし、利用者が少ない区間もあり全区間が存続するかは不透明だという。

 

 

 

   当初の計画を5年前倒して2031年の開業を目指す

 

北海道新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備が進められているもので、1972年7月に青森市~札幌間が基本計画に追加された。

 

このうち、新青森~新函館北斗間が2005年4月に認可・着工されて先行して開業したのに続き、新函館北斗~札幌間は2012年2月に認可・着工となった。

 

開業は約20年後の予定だったが、政府・野党の申し合わせによって5年前倒して2031年3月の開業を目指している。

 

これによって東京~札幌間は、現在の7時間44分から5時間1分に短縮され、観光やビジネス客の増加などによる経済波及効果が期待される。

 

札幌市~旭川市間も1973年11月に基本計画区間に追加されているが、その後の進展はなく、着工時期も未定である。

 

                                  (2019年9月時点)