2023.01.01

循環式ブラスト工法

一般社団法人 日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会

 

 

 鋼橋の長寿命化対策としてRc-Ⅰ塗装系への塗装塗替えが主流となって久しい。ブラストの需要も年々高まってきている。そのブラストにおいて、耐摩耗性の高い金属系研削材を循環再利用するシステムを導入し、塗膜くずと使用した研削材を選別し、産業廃棄物の発生量を最小限に抑制することを可能としたのがこの「循環式ブラスト工法(旧名:循環式エコクリーンブラスト工法NETIS CB-100047-VE 旧登録)」である。

 産業廃棄物の抑制は、その運搬・処理に伴い発生する温室効果ガス排出量の抑制や、産業廃棄物処理費用の大幅削減にもつながる。循環式ブラスト工法は環境性と経済性に優れた長寿命化技術であり、最近では「令和3年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰 内閣総理大臣賞」を受賞し、令和4年3月には建設技術審査証明(建審証第2201号)を取得している。

 

 

 

 

   特 徴

 

1.産業廃棄物の発生量を最小限に抑制
 非金属系研削材を使い捨てていた従来工法に対し、金属系研削材を回収・選別し循環再利用するシステムを構築することで、発生する産業廃棄物を塗膜くずのみとした。発生量は従来工法の約1/40まで抑制可能。

 

2.温室効果ガスの排出量を大きく抑制
 産業廃棄物はその運搬と処理行為に伴いCO2を大量に排出する。産業廃棄物発生量の抑制はCO2排出量も大きく抑制する効果があり、脱炭素社会の実現にも貢献できる。

 

3.コスト縮減にも大きな効果
 ブラスト対象となる旧塗膜には高確率で鉛やPCB 等の有害物質が含有している。これらは特別管理産業廃棄物として高額な処理費用を必要とする。産業廃棄物発生量の抑制は処理費用の大幅削減に繋がり、コスト縮減に大きな効果がある。

 

4.作業環境の改善
 研削材の破砕に伴い大量の粉じんを発生させていた従来工法に対し、耐摩耗性の高い金属系研削材は破砕しないため粉じん発生は大きく削減できる。この改善に伴い、作業性・安全性・品質は格段に向上する。

 

従来工法の作業状況

本工法の作業状況

 

5.施工規模や用途に合わせた機材の選定が可能
 機材の設置場所が確保できれば、施工規模に合わせた設置型設備、場所が確保できなくても車載型にて対応可能。高層部への音抜けにも対応した都市型低騒音ユニットも用意している。

    

 

 

低騒音型ユニット

 

6.作業員の健康を守るガイドラインを制定
 日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会として、「鉛含有塗膜除去作業に関するガイドライン」および、「塗装塗替え工事における火災防止ガイドライン」を制定し、ブラスト作業に関わる全て作業員に周知徹底。安全管理の徹底が安定した品質の確保につながる。

 

7.疲労き裂の予防も対応可能
 本工法のシステムを活用し、研削材をピーニング用ショットに替える事で、既設鋼橋でのショットピーニングが可能に。 ブラストによる腐食防止に加えて疲労強度を向上させることで疲労き裂の予防も可能としたこの「エコクリーンハイブリッド工法(NETIS CB-180024-A)」は循環式ブラスト工法の進化型として鋼橋の長寿命化に貢献する。

 

 


 

    実 績

 

2021年度末時点で約160万㎡