新規性
・従来技術の現場吹付のり枠工は、モルタル材でのり枠を造成するため、枠内のみを緑化対象とする部分緑化となり、特に植生が不十分な現場では、モルタルのり枠が目立ち、周辺景観と調和しない問題がある。施工面では、比較的重量物となる金網型枠と鉄筋をのり面上に配置し、モルタルを吹付けてのり枠を造成するため、煩雑な作業となり工期が長く、施工性に劣る。また、ひび割れ箇所から遊離石灰が発生して汚れが目立つなど、経年劣化が懸念される構造物である。
・GTF受圧板工法は、開口部が広いコンパクトな受圧板に、ジオグリッドを組み合わせ、短繊維混合補強砂を吹付けてのり枠を造成するため、のり枠面を含めた全面緑化が可能となり、周辺景観との調和が図れる。施工面では、軽量かつコンパクトな材料の受圧板及びジオグリッドをのり面に設置するため、作業が容易となり工期が短く、施工性に優れる。また、GTF受圧板は溶融亜鉛めっきによる防錆処理を施すとともに、高い耐久性を有するジオグリッドを組み合わせたのり枠材を使用するため、従来技術のモルタル吹付のり枠に比べ耐久性に優れることから、ひび割れ発生による経年劣化などの問題が改善される。
期待される効果
■補強性能
・GTF受圧板は、ジオグリッドを用いたのり枠の交点部に配置され、のり枠内で一体的に固定する構造となるため、のり面の表層保護とともに、補強材+GTF受圧板による地山補強土工により、小~中規模の崩壊対策として有効に機能する。
■美観・景観性
・GTF受圧板は、高強度で広い開口部をもつため、植物の生育に支障とならず、全面緑化が可能で、美観・景観性に優れる。
■施工性・経済性
・使用する部材のうち、特にGTF受圧板やジオグリッドは、軽量・コンパクトで取り扱いしやすく、斜面上において人力で容易に設置できることから、施工性に優れるとともに、工期短縮・コスト縮減となる。
適用条件
① 自然条件
・対象地山の地質において地山補強効果が認められない地盤(沖積低地等の軟弱地盤など)には適用できない。
② 現場条件
・施工機械(吹付プラント)の設置ヤードが必要(従来技術と同じ)。
③ 技術提供可能地域
・制限なし。
④ 関係法令等
・特になし。
使用する機械・工具