新規性
・従来はサイフォンを起動させるのに手間がかかっていた。それを解決するため、専用部材「ワイ・ガッチャン」を開発した。これにより、発電機の電源のオン、オフのみで水中ポンプによる送水からサイフォンの作用による送水への切り替えを行うことができるようになり、遠隔による操作が可能となり、安全性の向上につながった。
・「ワイ・ガッチャン」のほか、サクションホースと一体化するフランジ、空気逆流防止部材、水中ポンプ送水側停止部材、配管内の残留空気を押し出す部材、といった専用部材を開発し、組み合わせることでサイフォンの作用による送水を容易に起動、停止することができ、また安定した排水を継続できるようになった。
・従来の水替工では、発電機の稼働の際に軽油を使用するため使用期間が長期にわたるとそれに伴い、燃料費も増加していた。本装置はサイフォンの作用における送水時には燃料の消費がないため、燃料費の縮減が可能となった。
・補給作業の回数が少なくなるため、それらの手間、費用も軽減することが可能となった。
・従来はホースの配管などにおいて、被災地付近での作業が実施されることがあったが、本装置においては、組み立てたのちにラフテレーンクレーン、バックホウなどの重機を用いて移設を実施するため、作業時における安全性が向上した。
期待される効果
・サイフォンの作用による送水を起動させる方法が、水中ポンプの電源のオン、オフのみなので、作業が安全かつ容易であり、誰でも操作が可能である。
・専用部材によってサイフォンの作用による送水の起動だけでなく、停止も容易かつ安全にできるようになった。また、サクションホース同士を連結した状態での移設も可能となり、作業効率が上がった。
・サイフォンの作用による送水時においては、燃料の使用がないため燃料費の縮減が可能となる。
・補給作業の回数がなくなるため、特に地震、大雨等によって補給路の確保が困難となる天然ダムにおける排水作業においてその効果が高く見込まれる。
・安定した足場、作業ヤードを選んで組み立てることができ、さらに移設が可能となることから、作業時の安全性の向上が見込まれる。
・現地の状況と使用できる重機に応じて、本装置のサイズを選定し、設置、稼働することができる。
適用条件
① 自然条件
・水中ポンプ、発電機が稼働する範囲の温度、湿度、標高であること。
② 現場条件
・φ200mmの本装置においては、25tラフテレーンクレーンが運用できること。
・φ100mmの本装置においては、4インチ水中ポンプ並びに発電機を吊り上げ、設置ができる重機が運用できること。
③ 技術提供可能地域
・提供可能地域については制限なし。
④ 関係法令等
・特になし。
使用する機械・工具
送水切り替え装置(ワイ・ガチャン)
水中ポンプ
発動発電機
サクションホース
ラフテレーンクレーン
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