DataLabs(株)

企業概要

 2020年7月に設立されたDataLabs(データラボ)株式会社は、「3次元データで建設業を変革する」をミッションに、3次元データを用いたクラウドシステムの開発・提供を行っている。その基になっているのは、点群データの自動3次元モデル化(BIM/CIM化)技術だ。現在この技術を活用し、配筋検査を省力化する「Modely(モデリー)」、3次元データを活用しモルタル量・はつり深さを自動算出する「Hatsuly(ハツリー)」を提供している。建設業界では、様々な課題解決策として3次元データの活用が急務となっており、簡単に導入でき、かつ劇的に業務を効率化する同社のサービスは、大きな期待が寄せられている。

会社情報

メーカー
DataLabs(株)
所在地
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町8-6 H¹O日本橋小舟町709
TEL
03-6810-8520
企業情報
https://www.datalabs.jp/

建設業務で急務となる3次元モデルの導入

 

 建設業界は、就業者数の減少や高齢化、急速に進むインフラの老朽化等、多くの課題を抱え、生産性の向上が強く求められている。その解決手段として注目されているのが3次元データの利活用だ。2020年4月には、国土交通省が「2023年までに小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用」することを決定。当初は2025年を予定していたものが2年前倒しになり、まさに建設業における3次元モデルの導入は待ったなしの状態になった。にもかかわらず、高機能PCや専門知識といった人材やコスト面での課題が、特に中小企業において導入のハードルになっている。

DataLabsの代表取締役・CEOの田尻氏は、以前、点群データなどを使用したドローンによる3次元計測に携わっていた。その時、顧客となる建設会社や測量会社は3次元データの閲覧ができても、発注元が閲覧できないため2次元データに変換して納品することも多く、常々疑問を持っていたという。そこで、建設関係者が3次元データを簡単に扱えることの必要性を感じたことが、同社創業の発端にもなっている。

 

 

 

 

   3次元データ導入の従来課題をすべて解消する画期的ツール

 

 同社は、2022年9月に3次元データを簡単に共有・可視化できるクラウドソフト「LinkedViewer(リンクト・ビューアー)」を発表、まず3次元データをベースにしたコミュニケーション基盤の提供を開始。そして2023年4月に「Modely」の提供を開始する。

Modelyは、iPadで取得した点群データをクラウドにアップロードするだけで、3次元の配筋モデルを自動生成し、設計値との比較や帳票の自動作成が可能。施工者は複数人で行っていた現場実測を一人で実施でき、発注者は現場立ち会いの頻度を減らせるため、時間・コストの大幅な削減につながる。これまでハードルになっていた、高額なツール、高い専門性、高機能PCなどの課題も、iPadとクラウド型ソフトウェアを使用することでクリアした。だが、最初からこの形が見えていたわけではない。「現場で本当に使えるソリューションは何か」を模索しながら、発注者・受注者双方の効率化・コスト削減につながり、恒常的に使うシステムを追求した結果、行きついたのが配筋検査だった。

さらに同社は、国土交通省中部地方整備局にて行われた2022年度「i-Constructionを推進するための現場ニーズ・技術シーズマッチング」に応募し、「配筋検査を簡易にする技術」として採択。その後約10カ月間の現場実証等を行った結果、非常に高い評価を得て、国土交通省の「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の実施要領(案)」に準拠した新技術として承認され、「国土交通省の直轄工事における新技術活用の推進」の対象技術となった。配筋検査の効率化を目的としたシステム等で、新技術としての承認は業界では初めてとなる。(2023年4月現在)

そして2023年9月からは、橋梁などインフラ建造物の補修工事向けに、一人ではつり深さやモルタル量を自動算出し、帳票まで作成できる「Hatsuly」の提供を開始。施工管理工数の大幅な削減や現場立ち会いの省略、さらにはモルタル等の使用量の適正化も実現した。

なおModelyとLinkedViewerは、国土交通省が運用するNETIS(新技術情報提供システム)の登録技術になっており、Hatsulyも登録手続きを進行している。

※「Hatsuly」は2024年1月24日NETIS登録済(KK-KK-230066-A)

 

 

 

 

   既存の考え方とは異なる“3次元”からのアプローチ

 

 配筋検査のシステムはModelyが初めてではなく、これまでも様々な企業が開発に取り組んできた。しかし決定的に違うのは、Modelyが最初から対象物を3次元の点群データでスキャンするのに対して、他のシステムは2次元の画像から3次元データを算出している点だ。そして、このアプローチを可能にしたのが、3次元スキャンもできる「LiDAR(ライダー)」スキャナを搭載したiPadの登場である。iPadがあれば専用アプリケーションのインストールも専門知識も必要なく、その日からModelyを使うことができる。

また同社のサービスは、現場から事務まで、外作業も内作業もすべての作業を省力化することも大きな特徴だ。局所的な効率化ではなく、業務そのもののプロセスを変えていくような仕組み、そして最終的にはインフラを効率的に維持管理するためのプラットフォームづくりを目指しているという。

新しい視点や独自の技術を生かし、スピード感をもって課題解決に取り組む一方で、最先端の技術やツールを柔軟に取り入れていく。こうした同社のビジネススタイルが、簡単操作、かつ安価で誰もが導入しやすい新たなツール誕生に結びついたといえよう。すでにModelyは、発売から半年間で多くの実績を重ねており、大手ゼネコンはもちろん、中小から地場のゼネコンまで様々な事業者に利用され始めている。

 

 

 

 

   あらゆる建設業務の生産性向上に期待

 

 同社は2023年5月、JR東日本の子会社でベンチャーへの出資や協業を推進するJR東日本スタートアップ株式会社と資本業務提携をした。JR東日本グループはオープンイノベーションを活用した技術開発に積極的に取り組んでおり、同社は2022年度の「JR東日本スタートアッププログラム」にも採択され、鉄道現場の生産性向上を目指した実証実験が始まっている。2022年6月には、中日本高速道路株式会社による「高速道路DXアイデアコンテスト」で優秀賞を受賞、高速道路の維持管理業務の効率化に関して連携を模索しており、インフラを管理するJRやNEXCOとの関係を相次いで構築している。

また2023年6月には、東京大学大学院工学系研究科教授・大竹豊氏、BIM/CIM推進委員会委員長を務める大阪大学大学院工学研究科教授・矢吹信喜氏を顧問に迎え、体制を強化している。こうした様々な協業の実現は、同社のサービスが建設業界の生産性向上に不可欠であり、多くの人がその可能性を実感しているからといえよう。

国土交通省は、2025年度までに建設現場の生産性を20%向上することを目標とした「i-Construction」を先導しているが、中小も含めて幅広い企業にICT技術の導入が進まなければ達成は難しい。同社の取り組みがこの目標達成に向けて、業界全体のDX化を裾野から盛り上げる大きな原動力になることを期待したい。

 

 

このメーカーの商品一覧

  • NETIS

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