新規性
銅製錬時に副産するスラグから製造した重量コンクリート用細骨材であり、コンクリート用細骨材として天然砂にはない以下の特徴を備えている。
・絶乾密度が3.5~3.6g/㎤で、天然砂の2.6~2.7g/㎤に比べて1.3~1.4倍程大きい。
・粒子はガラス質であるため安定しており、自硬性はない。
・アルカリシリカ反応性は、実用的には区分Aとして扱うことができ、アルカリシリカ反応を起こす恐れはない。
・銅スラグ細骨材は工業製品で、品質のばらつきは極めて小さく、安定した品質の重量コンクリートを製造することができる。
期待される効果
・天然砂を使用した普通コンクリートの単位容積質量は2.2~2.3t/㎥程度であるが、重量コンクリートとして活用、特に置換率50%以上で使用することでコンクリートの単位容積質量を10%以上増加させることができる。
・重量コンクリートとして活用し港湾構造物(例えばケーソン本体工や消波ブロック等)や河川工事(護岸用コンクリートブロック等)に適用することで、構造物の安定性を向上させることができ、波浪等に対してより安定的なかつ津波に対して粘り強い構造にすることができる。また一方で、構造物の重量増加により構造物断面を縮小する手法も可能で、港湾工事や河川工事のコスト縮減に寄与する。
・国内5カ所の製錬所から、品質の安定した工場製品として全国に安定供給することが可能。特に製錬所近辺においては、コスト縮減も含めより大きなメリットが得られる。
【製錬所所在地】
小名浜製錬所:福島県いわき市小名浜
直島製錬所:香川県香川郡直島町
玉野製錬所:岡山県玉野市日比
東予工場:愛媛県西条市船屋
佐賀関製錬所:大分県大分市大字佐賀関
・近年、良質な天然砂が少なくなり、また環境規制から新たな骨材採掘も難しい状況にあり、最近では循環型社会構築の観点から、スラグ等の循環資材の有効活用が叫ばれるようになった。銅スラグ細骨材を利用することで我が国が目指す循環型社会の構築に寄与し、天然資源である天然骨材の代替材料として活用することで、省資源・省エネルギーに役立つ。
適用条件
①自然条件
・従来技術と同様な取り扱いで適用できる。
②現場条件
・従来技術と同様な取り扱いで適用できる。
③技術提供可能地域
・技術提供可能地域については制限がないが、本新技術を活用したレディーミクストコンクリートを市中のプラントで製造・運搬する場合には、一般のコンクリートと同様に、提供可能地域はプラントでの練り混ぜ開始から90分以内に荷卸しができる地域となる。(JIS A 5308の「8.4 運搬」参照)
・プレキャストコンクリート製品工場への適用も可能。
④関係法令等
・JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」
・JIS A 5011-3「コンクリート用スラグ骨材-第3部:銅スラグ骨材」
・土木学会コンクリートライブラリー92号:銅スラグ細骨材を用いたコンクリートの施工指針
・「港湾・空港工事における非鉄スラグ利用技術マニュアル(案)」財団法人 沿岸技術研究センター