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建設DX

 

 

    

 

 

 

 

   国交省がi-Construction2.0を策定 抜本的な省人化対策へ建設現場の自動化めざす

 

 

 建設現場の生産革命を謳い文句に国土交通省が2016年度に打ち出した「i-Construction」。公表から8年が経ち、設計や施工へのデジタル技術の活用が一般化するなどICT(情報通信技術)を活用して建設現場の生産性を高めようとする取り組みが建設生産プロセス全般に波及してきた。今後さらなる人口減少が予測される中で、同省はi-Constructionによる生産性向上の取り組みを一歩進め、これまでのICT等の活用による業務支援から、建設現場のオートメーション化の実現を新たな目標として2024年4月に「i-Construction2.0」を策定した。i-Construction2.0では、建設現場の省人化対策について2040年度までに「少なくとも3割」の削減率達成を目指し、施工、データ連携、施工管理の3つのオートメーション化に取り組むことを掲げた。これにより建設現場の生産性が1.5倍向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境でインフラの整備・維持管理を持続的に実施していくことができる将来像を描いている。

 

 

 

   人口減少下でも求められる持続的なインフラ整備

 

 日本の生産年齢人口は2020年度の約7,509万人から2040年度には約6,213万人と約2割減少することが予測されている(国立社会保障・人口問題研究所による2023年度の推計)。人手不足や就労者の高齢化が悩みの種となっている建設業にとって、今後さらに人材確保が困難になる見通しだ。一方、高度経済成長期に全国で集中的に整備されたインフラ施設は、老朽化が加速度的に進行している。例えば約73万橋ある道路橋(橋長2m以上)は、建設後50年以上経過するものの割合が、2020年は全体の約30%だったが、2030年に約55%と半数を超え、2040年には約75%と4分の3を占めるまでに増える計算で、インフラ施設の計画的な維持管理・更新が急務となっている。さらに近年の気候変動に起因する豪雨をはじめとした自然災害の激甚化・頻発化の傾向も懸念され、建設業には災害発生時に地域の守り手として速やかに復旧・復興支援活動に当たる役割が期待されている。

 

人口減少の社会状況下で将来にわたって持続的にインフラ整備・維持管理を実施していく上で必要となる施工能力をどのようにして確保するか。そのための抜本的な取り組みとして国土交通省がi- Construction2.0で打ち出したのが「建設現場のオートメーション化」である。AIを活用した自動化技術の導入などにより1人で複数台の建設機械を同時に操作するなど、建設現場で働く1人当たりの生産量や付加価値を高めることで労働力の不足分を補完しようという考え。生産年齢人口の2割減少が予測される2040年度までに建設現場のオートメーション化によって1.5倍の生産性向上を図り、これにより少なくとも3割の省人化の実現を目指していく。さらに、建設生産のオートメーション化を目指す取り組みを通じて、危険が伴う作業のリスクを減らして安全を確保するとともに、働く環境の大幅な改善および働き方の改革を進めて多様な人材が活躍できる場を創出し、給与が良く、休暇が取れ、希望がもてる新3Kの建設業の実現につなげていくことを大きな目標としている。

 

 

 

 

 

 

   建設現場のオートメーション化へ3本の柱

 

 ICT施工に代表されるi-Constructionの取り組みを加速・深化させ、3割の省人化を目指す「建設現場のオートメーション化」は、①施工のオートメーション化、 ②データ連携のオートメーション化(デジタル化・ペーパーレス化)、 ③施工管理のオートメーション化( リモート化・オフサイト化)-の取り組みを3本の柱としている。

 

 

【施工のオートメーション化】

 建設機械の遠隔操作による遠隔施工の普及拡大や、AIの活用などによる自動施工(建設機械施工の自動化)の実現を目指す。そのための環境整備として、メーカーの異なる複数の建設機械を制御可能な共通制御信号や建設機械の施工データ共有基盤の整備、自動施工のための標準的な安全ルールの策定を行う。現状では各建設機械メーカーがそれぞれ異なる制御システムを採用しているが、リアルタイムの施工データを双方向で取得・共有することが可能となれば、建設機械の最適配置を瞬時に判断して建設機械にフィードバックすることで、効率的な最適施工が実現できる。これは陸上工事に限らず、海上工事での作業船操作の自動化も視野に入れている。

 

 

 

 

 

【データ連携のオートメーション化】

 国交省は取り扱う情報のデジタル化の一環として直轄事業の計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入することで建設生産プロセス全体の高度化を図るBIM/CIMの適用を2023年度から原則化した。今のところ3次元の形状データを中心にデジタルデータ活用が進んでいるが、2次元図面と3次元モデルが連動していないため、3次元モデルは「参考資料」にとどまっている。データ連携の観点からは、3次元モデルを工事の契約図書などに活用していくことが重要となる。同じデータを繰り返し手入力する非効率な作業をなくすことや、現場取得データの活用により紙での書類作成を削減(ペーパーレス化)する取り組みを促進する。

 

 

 

 

 

 

【施工管理のオートメーション化】

 施工状況を把握するための立会いや段階確認といった発注者による確認行為を現場に出向かずにWebカメラ等を用いてリモートで実施する「遠隔臨場」がコロナ禍を機に本格化し、2022年度から直轄事業に原則適用されるようになった。今後は中間技術検査や完成検査にも遠隔臨場を適用し、リモート化・オフサイト化を推進する。また、コンクリート構造物の配筋の出来形検査にカメラ画像の解析による計測技術を導入し、現場での監督検査のデジタル化に取り組む。動画や3次元モデルなど大容量のデータ活用に当たっては、通信ネットワークの強化が不可欠となることから、河川道路管理用光ファイバを使った高速ネットワーク環境を未整備の北海道まで延伸する。

 

 

 

 

 

 建設現場のオートメーション化に向けて同省は3 本柱それぞれのロードマップを作成し、短期(今後5年程度)、中期(6~10年後程度)、長期(11~ 15年後程度)の具体的な取組内容を明示している。施工のオートメーション化では、自動施工の実現に向けて短期でダム工事等での導入拡大、中期で大規模土工現場での導入試行、長期で導入工種の順次拡大を目指して取り組みを進める。

 

 

 

   初年度のトップランナー施策を3本柱ごとに明記

 

 建設現場の抜本的な省人化対策を盛り込んだi-Construction2.0を推進し建設現場のオートメーション化を実現するために、国交省は同省としての2024年度の取組事項を3本の柱ごとに列挙している。同省が初年度に取り組むトップランナー施策に位置付けられるもので、建設現場のオートメーション化の実像を具体的にイメージしやすい。

 

 まず「施工のオートメーション化」では、①建設現場の自動施工の環境整備、②遠隔施工技術の普及促進、③施工データ集約・活用のための基盤整備、④ICT施工の原則化-に取り組む。

 次に「データ連携のオートメーション化」では、①BIM/CIMによる建設生産プロセス全体のデータの連携、②3次元モデルの標準化と契約図書としての活用に向けた取り組み、③デジタルツインの活用による現場作業の効率化、④施工データの活用の効率化、⑤データ活用による書類の削減-を推進する。

 3つ目の「施工管理のオートメーション化」に向けては、①リモート監督検査、②ロボットによるリモート検査、③高速ネットワークの整備、④プレキャストの活用、⑤ドローンやAIなどの先進技術の積極的な活用-を進める。

 

 国交省は建設現場の生産性向上を狙いに2016年度から行動計画となるi-Constructionの取り組みに着手。2020年からは技監を本部長とする「国土交通省インフラ分野のDX推進本部」を設置し、建設現場の生産性向上に加え、デジタル技術の積極的な活用によって建設業の働き方の変革を目指す「インフラ分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)」を強力に推進している。インフラ関連の情報・サービスの提供を含めて、デジタル技術やデータの効果的な活用を図ることで、業務、組織、プロセス、文化・風土や働き方の変革を目指す取り組みは、建設現場の省人化対策を盛り込んだi-Const ruction2.0の取り組みと当然ながら軌を一にしている。建設産業が国民生活や経済活動の基盤となるインフラ施設の整備・維持管理を通じて将来にわたって社会的使命を果たし続けていくためには、エッセンシャルワーカーである建設産業従事者が少ない人数で、安全に、快適な環境で働くことができるよう、建設産業の仕事のあり方そのものを自ら変革していく必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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