新規性
・最大20測点の地表面傾斜データを無線で1台のロガーに集約することで、広範囲の「多点計測」を可能とした。
・メッシュ型無線で経路を自動構築するため、電波状況悪化や障害発生時も自動復旧する。
・920MHz帯の特定小電力無線を採用し、回折性能がよく電波到達性が高い。
・省電力設計による電池駆動かつ無線通信のため、ケーブル配線が不要。
・センサは傾斜検出部と無線部を分離構造とすることで、植生の変化による電波障害を回避するとともに、電池交換作業等でのデータ変動リスクを低減した。
・検出部はMEMS傾斜センサを使用して小型化し、施工に必要なスペースを少なくした。
・OSNET通信機能を標準装備し、警報発令や遠隔モニタリングへの拡張も可能にした。
期待される効果
・1台のロガーで「多点計測」を集約管理できるため、データ回収も容易となり、動態観測・施工安全管理・構造物維持管理が簡便に行える。
・広範囲の「多点計測」を可能としたことで、イレギュラーデータの識別ができ、信頼性が向上する。
・障害に強いメッシュ型無線のため、電波障害などによる通信断絶リスクを軽減し、確実性・信頼性が向上する。
・全てのセンサが無線中継機能を備え、別途電源を要する中継装置が不要なため、配置計画の自由度が向上する。
・施工に必要なスペースが少ないため、密に配置することも可能。目的に応じた柔軟な配置が可能となる。
・電源やデータ伝送にケーブル配線が不要で、無線経路も自動構築するため、設置コストが大幅に縮減できる。
・通信装置の追加により遠隔観測可能で、迅速な対応が図れて安全性・確実性・経済性が向上する。
・水位計、伸縮計、雨量計等、他の観測機器と同一システムで自動観測するなど、柔軟なシステム拡張が可能なため、ランニングコストが削減できる。
・従来技術は危険ブロック主測線上に4測点が基本であったが、新技術は補助測線も加えて10測点(最大20測点)と、従来より低予算で「多点計測」が実現できる。
適用条件
① 自然条件
・設置場所の温度:-20℃~55℃。
・結露なきこと。
② 現場条件
・センサ間がおおよそ見通し400m(林間は100m)を超える、無線電波が届かない配置を避ける。
・センサの無線通信はマルチホップ対応で中継も行えるため、センサとデータロガーが直接通信できない場合でも、その間に互いに通信可能な他のセンサが存在すればよい。
・センサ検出部は埋設や土嚢・日よけ等を利用して、直射日光など急激な温度変化を避ける。
・無線部やロガー部が水没しない場所。
・最も離れたセンサ部からロガーまで、4段以上の無線部中継が必要となる直線的な長距離を避ける。
③ 技術提供可能地域
・制限なし。
④ 関係法令等
・920MHz帯特定小電力無線を使用しており、ユーザ側の資格申請は不要。
使用する機械・工具
- 2軸傾斜センサ
- 警報ユニット
- データロガー
- ネットワークコントローラ
- メッシュ型無線