新規性
シラン系の表面含浸材はコンクリート表面を疎水化することで、化学的に水や塩水の浸入を防いでいた。一方、ケイ酸塩系の表面含浸材はコンクリート内の空隙を閉塞することで、物理的に劣化因子の浸入を防いでいた。
本技術はシラン系の能力でコンクリート表面を疎水化し、同時に脂肪酸の配合によりケイ酸塩系のようにコンクリート内の空隙を閉塞する効果を併せ持つ、ハイブリッド系表面含浸材である。当然、シラン系の長所とケイ酸塩系の長所を併せ持っている。
期待される効果
シラン系は水や塩水の浸入抑制には高い効果を発揮するため、耐塩害性や耐凍害性及びASR抑制能力はは非常に高い。
一方、ケイ酸塩系は物理的に空隙を閉塞するため水以外の劣化因子に対しても効果が期待でき、シラン系の弱点である中性化抑制についても効果を期待することが出来る。
本技術はシラン系に脂肪酸を配合することで空隙閉塞能力を持たせたハイブリッド系であるため、シラン系とケイ酸塩系それぞれの長所を併せ持っている。つまり耐塩害性、耐凍害性、ASR抑制、中性化抑制の全てが期待できる。
実際に第三者機関による性能評価試験の結果は、土木学会の表面保護工設計施工指針(案)で規定されているシラン系の要求性能とケイ酸塩系の要求性能の両方を満たしている。
また、ケイ酸塩系はアルカリをコンクリートに塗布することになるため場合によってはASRを促進させてしまう恐れがあるが、本技術はアルカリを含まないために、ASRを促進させる危険性は無い。
このようにシラン系とケイ酸塩系の長所を併せ持ったハイブリッド系であるので、どのような場所に塗布しても高い保護効果が期待できる。
適用条件
① 自然条件
・特になし。
② 現場条件
・コンクリート全般に施工可能。ただし、水中コンクリートや常に湿潤なコンクリートに対しては充分な効果が期待できない場合がある。
③ 技術提供可能地域
・日本全国に提供可能。
④ 関係法令等
・消防法 危険物第4類第3石油類(非水溶性)