新規性
・トンネル切羽前方の地質を予測するのに、従来技術ではトンネル切羽でのコアボーリングの結果からトンネル切羽全面の地質を予測していたのに対し、TSP303では360度方向に拡がる弾性波の反射波を捉え、解析にも3次元モデルを用いることによりトンネル切羽前方の弾性波速度分布を3次元的に把握できるようにした。
・トンネル切羽前方の地質を評価するのに、従来技術ではコアの主として見た目から評価していたのに対し、TSP303では弾性波速度の大小から定量的に評価できるようにした。
・調査作業を行うのに、従来技術では100mのコアボーリングを行うのにトンネル切羽を最低でも3昼夜占有し、その間トンネル掘削作業が中断されていたのに対し、TSP303では同じ100mの予測のための探査準備作業として探査前日に1~2時間、探査当日に約2時間の作業で終えることが出来るようにした。
・解析、評価、報告を行うのに、従来技術では100m分のコア観察(場合によっては定量的な数値を求めるための試験の実施)を行うのに最低でも1日は必要であったが、TSP303では半日程度の作業で済むようにした。
期待される効果
・トンネル切羽周辺の地質変化を3次元的に把握することで、トンネルルート周辺(天端、側壁)の地質性状が分り、断層破砕帯等のトンネルルート上への出現予測位置の精度が向上する。
・トンネル設計時の地山区分は主として弾性波速度に基づいて行われており、TSP303による予測値(同一速度のレンダリング表示(下図参照)や速度分布)とトンネル設計時に探査した弾性波速度値とその範囲との対比が容易にでき、地山区分の評価が合理的に行えるようになる。特にトンネル掘削に悪影響を及ぼす断層破砕帯の規模を明らかにすることができる。
・切羽付近での作業時間が少なくなることで、トンネルの施工サイクルに与える影響を少なくすることができる。
・調査後の解析等に費やす時間が短くなり、施工に対して迅速なフィードバックができる。
適用条件
① 自然条件
・トンネル坑内での作業であり、風雨等の気象の制約を受けない。
② 現場条件
・切羽付近の側壁に弾性波を発振させるための長さ1.5~2.0mの孔を約1.5m間隔(標準)で24ヶ所程度穿孔できること。
・発振孔の後方に受振センサーを設置するための長さ2mの孔を右、左の側壁に2ヶ所ずつ穿孔できること。
・探査中は約1時間程度、騒音・振動を発生させる坑内作業および換気装置等を停止できること。
・探査地点の土被りは50m程度以上あること。
・弾性波の発振に火薬を使用する場合、発振孔より岩片等が飛散する恐れがあり、付近に機械設備等がある場合には対策が必要となる。
③ 技術提供可能地域
・技術提供可能地域については制限なし
④ 関係法令等
・弾性波の発振源として火薬を使用する場合は、火薬類取締法施行規則 第48条「消費の許可申請」