新規性
「MEMOREAD」に搭載されている注目の「差分解析」機能は、点群データを活用して「浮き」や「剥離」の領域表示はもとより、剥落、鉄筋露出や細かなジャンカ、はらみ、膨張や陥没、亀裂やズレ、施工不良に至るまで細部にわたってヒートマップ化し、インフラ全体の損傷箇所の全容を把握することを目的としたシステムである。解析原理は、点群と基準面モデルとの比較により法面距離の差分量を自動解析し可視化させるというシンプルなものである。そこに当社独自の技術で、インフラ構造物を「点群データから3D基準面モデル化する技術」を用いることで短時間の解析を可能にした。構造物を点群データから3Dモデル化し、差分解析で変状を抽出、差分解析データからのトレースして損傷図・変状図を短時間に作成する技術、剥落箇所の補修量や補修面積の計算、2D図化機能などマルチな機能でインフラ維持管理を総合的にサポートする。
期待される効果
近接調査の現状の課題として、打音調査は点検者の経験知によって判定に個人差があったり、見た目ではわからない「浮き」を探すことに時間を要するなど、作業環境に応じて困難な現場が多い点を見逃してはならない。「MEMOREAD」に搭載されている「差分解析」機能は、打音調査を行う前に点群計測し差分解析することにより、事前に損傷箇所の全容を把握することができる。よって、現地点検の際の点検者の負担軽減や、効率の良い点検、調査漏れ・計測漏れの防止、1日当たりの調査面積の向上に貢献できるなど第三者被害抑制対策にも効果は高い。総合的にも点検時における工期短縮、経費削減などに貢献できる技術といえる。内業に関しては、「差分解析」データ上をポリラインでトレースするだけで簡単にリアルな損傷図が作成できるため、概略図起こしのような作業が一切無くなる点では負担軽減につながる点が期待される技術である。
適用条件
同システムは、計測された点群データを解析して、打音調査などの現地近接調査や損傷図作成などの作業支援・効率アップを目的としたソフトである。データの精度は現場計測の詳細度や点数に依存されるため、作業環境や現場状況を考慮した測定機器による計測対応をお願いしている。なお、今回搭載された「差分解析」機能は、ミリ単位の表面部の損傷や凹凸変化を可視化させることができる。そのため測定誤差による誤判断や施工不良個所などの可視化はもちろんのこと、逆に表面に現れていない「浮き」に関しては同技術での特定は難しいケースがあることを補足する。よって、データの信ぴょう性を確保するためにできる限り測定誤差の小さな地上型レーザースキャナーを使用した計測を推奨としている。また一方で、概略判定程度の可視化を目的とした解析であれば、現地で簡単に計測できるモバイル端末を用いた点検支援にも対応が可能である。